エルダー2019年9月号
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2019.94食文化史研究家 永山久夫さんー「旬のもの」を摂るのが和食の原点、というお話でしたが、秋にぜひ摂りたい食材はありますか。永山 秋は、老化を防ぐ抗酸化成分を含む食べ物が多い季節です。抗酸化成分だらけ、といってもいいほどです。例えば秋のサケは、抗酸化成分であるアスタキサンチンを多く含み、脳の疲れを取ってくれる働きが期待できます。食べ方はシンプルに焼いてもいいですし、ちゃんちゃん焼きなどにして、野菜をたっぷり入れれば栄養バランスのよいおかずになるでしょう。旬のサンマには、オメガ‐3脂肪酸が含まれているので、こちらも血管を元気にしてくれる働きがあります。高齢になっても、アイデアがどんどん湧き、活き活きと働くためには、こうした食材の栄養に気を配り、積極的に食べるようにしたいですね。̶永山先生は、現在87歳。生涯現役を貫かれて、テレビや講演、執筆で活躍されています。先生ご自身の健康法があれば、ぜひ教えてください。永山 私は若いときから、歩くことが大好きでした。もともと、出歩くことも好きですし、野山を駆け回っていました。現在は、テレビなどでのロケも多いほか、講演では2時間ずっと立ちっぱなしです。仕事をすることで、知らず知らずのうちに歩いていて、それが自然と健康法になっているんだと思います。最近、座りすぎの弊害が指摘されていますが、元気に働くためには、健康な足腰が大切になります。おっくうがらずに一駅歩く、エレベーターではなく階段を使う、などの工夫を生活に取り入れていったらいいと思います。 食生活では、私は毎日、発芽玄米を食べています。冷めてもおいしいですし、健康に必要な栄養素を自然に摂れることが強みです。そのほかには、餅キビ、アマランサス、キヌアも毎日いただいていますね。餅キビは、雑穀の一種で、鉄分や亜鉛、マグネシウムが豊富です。アマランサスは、10年ほど前に「驚異の穀物(スーパーグレイン)」として話題になりました。発芽玄米を炊くときに加えたり、軽く炒って、サラダやスープ、炒め物などに振りかけたりして食べています。キヌアにも、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルやビタミンB類が豊富に含まれているので、サラダやスープに入れるなどして、食べるようにしています。ー若々しいお姿と生涯現役の背景には、そうした毎日の食べ物があったのですね。永山 食文化史研究家という仕事柄、古代からの食べ物、食べ方だけではなく、現代の最新フードにも興味がありますし、知っておく必要もあります。だから、自分自身で食べて、実感したいと思っているんです。現代人の特性の一つとして、パソコンやスマホの画面といった、加工された情報を目にすることが本当に多いと思うんですね。できるだけ、好奇心をもって自分の目で見る、見に行くために歩く。そうやって自分自身を活性化することが、健康の秘訣だと感じています。生涯現役でいるためには、歩くことそして好奇心をもって日々生活すること(聞き手・文/菊池麻依加 撮影/中岡泰博)※  永山久夫さんの新刊『外国人にも話したくなるビジネスエリートが知っておきたい教養としての日本食』(KADOKAWA)を今月号の「ブックス」(58頁)で紹介しています

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