エルダー2019年9月号
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582019.9※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します永山久夫 監修/KADOKAWA/1400円+税残ざん間ま里江子 著/中央公論新社/820円+税日本食の知識・教養が身につく「和食の国」の常識百科新しい一歩をふみ出そうとする大人に捧げる、応援の書ユネスコの無形文化遺産に登録され、国際社会でも注目を集めている「日本食」。近年では、外国人とのコミュニケーションにおいて、「なぜ、日本人は蕎麦をすするのか」、「清潔好きなのに、日本人はなぜ寿司を手でつまむのか」などの質問をされることも多くなっている。本書は、そんな日本食にまつわる知識を「仕事の武器になる知的教養」の観点からまとめた日本食の常識百科。本誌「日本史にみる長寿食」の連載でおなじみの食文化史研究家・永山久夫氏が監修し、ビジネスエリートが知っておきたい日本食の知識、歴史、しきたり、マナーがわかりやすくまとめられている。「いただきます」、「おかわり」といった、ふだん何気なく使っている言葉の意味や、「割箸」に込められた日本人の衛生観念、「懐石料理」の由来などは、ビジネスパーソンが外国人と会食する際に紹介したくなる豆知識になるはず。もちろん、長寿食を長年にわたり研究してきた永山氏ならではの、日本食の知見も満載。「納豆」、「佃煮」、「わさび」などに含まれる栄養や日本人の知恵、歴史的由来などが、楽しく読める構成となっている。知的教養が身につき仕事の武器にもなる好著である。著者はアナウンサー、雑誌記者、編集者を経て、企画制作会社を設立し、山口百もも恵え著『蒼あおい時』の出版を手がけたことでも知られる。映像やイベントのプロデューサーとして、また、テレビやラジオのパーソナリティーとしても有名だ。2007年に静岡県で開催された「ユニバーサル技能五輪国際大会」の総合プロデューサーを務めたことを憶えている読者もいるだろう。時代の先端で活躍を続けながら、団塊の世代の一人として年齢を重ねてきた著者は、2009(平成21)年に新しい大人の文化創造を掲げて、「クラブ・ウィルビー」という組織を立ち上げた。「旧来の高齢者のイメージを覆し、社会と積極的にかかわっていこうという趣旨で創設した」と、このクラブのことを本書で紹介している。「学ぶ」、「働く」などのテーマで意欲ある大人たちを応援しているほか、シニアの本音をリサーチする活動も開始した。本書には、著者自身の経験や友人、仕事仲間らのさまざまな姿や日常の出来事を通して、定年後をポジティブに生きていくヒントが綴られている。これからどんな花を咲かせるかを考える手助けになり、「新しい一歩をふみ出して人生を彩りたい」という気力が湧いてくる。もう一度花咲かせよう「定年後」を楽しく生きるために外国人にも話したくなるビジネスエリートが知っておきたい教養としての日本食

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