エルダー2019年10月号
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2019.1010同制度の導入の結果、本人に就業意欲があり、肉体的・能力的に支障がなければ、年齢の上限なく働ける環境が整備され、高齢職員のモチベーションの維持・向上につながっている。(2)高齢職員を戦力化するための工夫・機械設備の導入高齢職員の戦力化にあたっては、それぞれの体力や能力に応じた業務改善や配置転換が課題であった。業務のなかでも、とりわけ体力の負荷がかかる入浴介助について、高齢職員の腰痛対策として「機械入浴槽」を導入した。要介護者が車椅子に座ったまま、あるいはベッドに横になった姿勢で入浴させることができるため、介護度の高い患者の入浴介助の負担が軽減し、高齢職員の負担の軽減にもつながっている。・業務改善高齢職員が現役で働き続けられる環境を整備するため、高齢職員の意見を反映させた業務改善を実施し、高齢職員は体力や能力に応じた業務を担当することが可能になった。例えば、体力が必要な外出レクリエーションの引率を軽減し、定型作業に担当を替えた。一方、リハビリやレクリエーションにおいて高齢職員のアイデアや知識を活かしてプログラムを開発するなど、高齢職員の活躍の場は広がっている。また、写真や図を活用した作業手順の掲示、伝達ミスをなくすための紙面による仕事の指示など、作業手順の改善を推進するなか、高齢職員が働きやすい環境の整備が進み、能力や経験を活かした仕事を続けることが可能になった。(3)意識・風土の改善・改善提案制度の導入同法人の院長を兼務する現理事長が就任した2007年から、仕事の方法や法人内環境に関する問題点の指摘や改善案を職員が提案する「個別ミーティング」を、年4回実施している。各職員が所属長と個別に行う面談で、各職員には改善案の提出が義務づけられており、職員自ら創意工夫をして仕事をするようになるなど、モチベーションの向上につながっている。また、優れた改善案は、所属長、所属部長が参加する「院長ミーティング」で共有され、よりよい職場環境の創出につながっている。・職場コミュニケーションの推進職員間のコミュニケーションを円滑にするため、法人全体の忘年会やバーベキュー大会を実施しているほか、職場単位での職場交流会に対し金銭補助を実施している。コミュニケーションが円滑になることで高齢職員が孤立する場面が減少しており、楽しく前向きに仕事ができるという声が上がっている。(4)能力開発に関する改善・顧問制度による後継者育成高齢職員の技術を現役職員に継承するため顧問制度を導入、顧問となった高齢職員は後任の教育・育成に努めている。具体的には、アニマルセラピーのための馬の世話や厩うまやの管理、リハビリ、レクリエーションのための陶芸やピザ窯がまづくり、ピザやパンの製造など、特殊技能を持った職員を「顧問」という肩書で配属し、持っている技術を現役職員に継承している。・トレーナー制度の導入新規に採用した60歳以上の高齢者の定着を促進するためにトレーナー制度を導入した。高齢職員が教育担当を務め、採用後、日誌による指導を1カ月間、毎日実施する。この制度の導入車椅子に座ったまま入浴できる「機械入浴槽」

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