エルダー2019年10月号
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特集エルダー132019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ9年に先代社長のもと測量業登録を行い、その後補償コンサルタント業、用地補償や測量調査の分野で業容を拡大してきた。東北地方一円を営業エリアとして、東北地方でも有数の補償業務管理士の資格保有者数を誇る。補償コンサルタント業務全8部門を中心に、測量・建築設計業務などを通して、国や地方公共団体が行う公共事業に必要な土地の取得などに関する補償業務を行っている。また、水すい文もん観測業務として、河川管理にとって必要な基礎的データを取得するため、流量観測や採水などを実施。さらに、東日本大震災復興支援業務にも積極的にかかわり、地域に貢献できる企業を目ざしている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ従業員32人のうち60歳以上は10人で、全従業員の3割を占める。70歳以上は2人で、最高齢は81歳である。本社は4部門で構成され、総務部に60代前半が1人、測量部は60代前半が1人と60代後半が2人在籍している。補償部には60代前半が1人、営業部は60代後半が3人と70代が1人、最高年齢の81歳の高齢従業員が在籍している。技術部門においては、若手の採用がままならず、高齢従業員が主戦力となっている。平均年齢は54・8歳で、組織維持のためには若手従業員の採用は不可欠であるが、2年前にようやく若手を採用できたというのが現状である。一方、同社に依頼される公共事業は増加の一途にあり、人材不足から受注することができないという状況も生じていることから、課題解決のために高齢従業員は会社の大きな戦力であるという位置づけを明確にし、「生涯現役」という経営方針を打ち出した。健康で意欲があるかぎり働き続けることができる会社づくりを目ざして、健康づくりの推進や職場環境の整備に全社をあげて取り組むことにより、勤続30年以上の勤務者が8人、40年以上の勤務者が4人という、高い定着率につながっている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善・定年制等2013年の高年齢者雇用安定法改正時に定年年齢および継続雇用制度の見直しを行い、高年齢者雇用確保措置の経過措置の取扱いに合わせて、継続雇用年齢を段階的に引き上げていくこととした。2017年には、国や当機構の高年齢者雇用アドバイザーの働きかけなどにより、経過措置を廃止し、継続雇用年齢を希望者全員65歳に引き上げた。また、社内業務の安定的な継続のため、2018年10月に定年年齢を65歳に引き上げた。従前は定年後の者に対し、経過措置による条件つきの継続雇用としながら実質はほぼ全員の継続雇用を行っており、職務内容および処遇をそのまま継続していたことから、定年年齢の引上げの際に大きな問題は生じなかった。・継続雇用制度の見直し従前から65歳以降については、一定の条件(健康状態と本人の意思)のもと、年齢の上限なく継続雇用している。当該継続雇用者は、2011年4月に導入した「継続雇用者の働きやすい柔軟な雇用形態制度」により、短時間勤務と隔日勤務を選択することができる。現在、65歳以上の高齢従業員のうち4人が、この柔軟な雇用株式会社建設相互測地社の本社

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