エルダー2019年10月号
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特集エルダー212019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ入居型の施設をはじめ、デイサービスやショートステイなどの複合型施設を運営、訪問介護や居宅介護支援事業も展開している。同法人の強みは、デイサービスや訪問介護など異なるサービスを利用する場合でも、部署間の連携が円滑であり、利用者の要望に迅速に対応できることがあげられる。また、同法人以外のグループ組織では、介護老人保健施設や介護つき有料老人ホーム、サービスつき高齢者向け住宅、食事の配送などの事業も幅広く運営している。つねに目標を高く掲げ、職員の福利厚生水準の向上や、ほかの業種と比べて低いとされる介護業界の賃金レベルを、製造業並みに引き上げることを視野に置いている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ職員数は52人で、職種別で見ると介護職がもっとも多く(64・2%)、看護師(11・3%)、ケアマネージャー(9・4%)の順となっている。介護業界は慢性的な人手不足の状況にあり、職員全体の平均年齢(2018年4月時点)は47歳と高い。最高年齢は91歳の看護師である。介護サービスの質的向上を図るため、①労働生産性の向上、②職員の処遇向上を経営上の目標に掲げている。目標実現のために、職員のサービス能力や作業効率の向上など、日々の業務効率改善活動に取り組んでいるが、基幹労働力として活躍しているのが高齢職員である。高齢職員はサービス提供能力が高く、若年者の見本となることから、高齢職員が長く働ける環境を整えるために、定年延長や処遇改善、作業環境の改善を進めてきた。その結果、職場への定着率も上昇し、現在5年以上10年未満の勤務者は全体の20%、10年以上の勤務者は40%を占めている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善 ・定年制度2017年4月に定年を66歳に、継続雇用年齢の上限を70歳まで引き上げた。正職員と同様の働きを希望する場合には、定年後の職員区分は、「嘱託職員」に変わり、雇用契約の単位期間は1年となる。また、本人の希望があれば、労働時間の変更も可能であるが、短時間勤務を望む場合、職員区分は「パート職員」となり、パート職員に定年はない。・人事評価制度人事評価は、年2回実施、対象は職員区分を問わず、自己評価を含めた360度評価を行う。評価項目は職種や職位によって異なり、評価結果を基に管理職と面談を実施している。人事評価結果は、基本給の決定や賞与の支給額、資格加算手当の支給額などの決定に活用している。・基本給の決め方8等級からなる等級号俸表に基づき職員の格づけを行う。基本給には昇給があり、年2回の人事評価結果(年間平均)に基づいて昇格する号俸数が変わる。継続的に処遇改善を進めており、最終評価者(理事長)が通常は1ランクアップするところを、2~3ランクアップさせることもある。・賞与、退職金などの支給賞与は年2回支給、退職金は勤続10年以上の職員に支払う。定年到達者の退職金の精算時期は66歳時点となる。ケアハウス・在宅複合施設花紬

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