エルダー2019年10月号
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2019.1022・パート職員の賃金および引上げ状況パート職員の処遇改善を経営上の重要課題であると考えており、2019年7月にはパート職員に「特別精勤手当」といった、時給にプラスアルファする手当を支給した。また、パート職員にも正職員と同様に賞与や資格手当などを支給している(一部支給対象外の手当などあり)。(2)高齢職員を戦力化するための工夫60歳以上の職員は、5割を超えている。施設利用者と年齢が近く、気軽に話せる存在である高齢職員は、知識や技術に加え利用者の立場に立った介護や看護を行うことから高い信頼を得ており、サービスの質の向上に貢献している。また、若い職員が介護や看護について教えを請こうこともあり、尊敬を集めている。高齢職員を含めた職員が長く働ける環境を整えるために、作業負担の軽減や、安全対策、職場環境の快適化、職務範囲の見直しなどに着手してきた。作業負担の軽減策として、エレベーター利用の推進やBOXシーツ(底の部分にゴムの入ったベッド用シーツ)を導入したことで作業時間が短縮され、腰痛軽減に効果があった。また、自動掃除機や高圧洗浄機の導入によって清掃業務の負担を軽減した。一方、安全対策としては、送迎ドライバーの安全運転への意識を高めるために、施設所有の車すべてにドライブレコーダーを設置し、ドライバー名と「高齢者送迎・乗車中」と記載されたステッカーを車体に貼るようにした。また、もともとデイサービス事務所として使用していた部屋を多目的ルームに模様替えし、送迎職員の休憩場や待機場、利用者のサークル活動の場として職員間の交流に一役買っている。さらに、意欲の向上という面から、職種ごとに制服を変えるなど、よりよいサービスを提供するために、さまざまな角度からのアプローチに挑戦している。(3)意識・風土の改善開設当初からQCサークル活動※を取り入れている。テーマは原則的に部署ごとに設定しているが、昨年度は、例外的に「生産性向上」を共通テーマに掲げた。例えば、事務部門ではデイサービスと事務が連携を欠くとサービスが滞るなど問題が生じることから、事務管理の効率化のため部署間の連携を図った。ショートステイとデイサービスの協力によって新たなサービスの提供が可能になるなど介護サービスの質が高まり、それが職員の処遇改善につながった。また、職員間の意思疎通を重要課題ととらえ、管理職は高齢職員をはじめ全職員の体調や働きぶりを見て、日常的に意思疎通を図っている。その結果、例えば職員の体調がすぐれないようであれば、早期の帰宅をうながすなど迅速に対応できるようになった。さらに、コミュニケーション強化にも注力し、定期的に懇親会や社員旅行を実施。法人内はもちろん、グループの垣根を越えた職員間の交流を図る好機となっている。一方、近隣の清掃活動など地域への奉仕活動にも積極的に参加。災害時に地域住民の避難施設となるよう、施設内に食料などを備蓄する活動も推進している。(4)能力開発に関する改善AED講習、接遇講習、感染症予防、防災・備蓄の講習など、時じ宜ぎを得たテーマの職員研修を月1回開催している。講習テーマや講師の選択はこれまで管理職が担当していたが、職員の意識向上のため、今年からは職員自らが講習を※ QCサークル活動……同じ職場内で品質管理活動を自発的に小グループで行う活動のこと安全運転への意識を高めるために導入したステッカー

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