エルダー2019年10月号
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特集エルダー232019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ企画し、講習内容を決定するという方針に変更した。また、学習意欲の喚起を目ざし、グループ全体で統一テーマを定めて月一回試験を実施、学習成果の高い人には褒ほう賞しょう(果物や旅行券など)を授与している。一方、高齢職員が多くをになっている送迎業務については、ドライバーを対象とした指導の機会を設けており、経験の浅いドライバーには介助の仕方、車いすの押し方などの基本知識の指導を約1カ月間実施している。また、年に一度、安全運転管理者がドライバーの運転をチェックする機会を設けている。さらに、安全運転を実施するため「ドライバー会議」を開催し、日ごろの送迎業務において気づいたことや、改善事項などに関する意見交換を行い、安全運転に対する意識向上を図っている。(5)健康管理・安全衛生管理すべての職員の健康増進を目的にさまざまな取組みを進めているが、なかでも、同法人が指定する病院を受診した場合、費用の3分の2を補助する医療費補助制度は、先進的な制度であると自負している。また、2時間単位で取得できる有給休暇制度を導入したことで、病院などへ立ち寄ってからの出勤も可能となり、とりわけ高齢職員から好評を得ている。さらには定期健康診断の受診時には、法定の項目にはない大腸がん検診を項目に加えていることや、全職員へのインフルエンザの予防接種、ストレスチェックとそのフォローアップの実施など、手厚い処遇は職員のモチベーションをアップさせ、高齢職員の勤労意欲を高める有効な施策となっている。(6)高齢職員の声最高齢のAさん(91歳、女性)は、看護師経験72年という大ベテランである。肩の負傷のため3カ月休職していたが、職場復帰に対する強い意思と日々のリハビリの成果が実り、8月から復帰している。施設利用者はもとより、若い職員からの信頼も厚く、「働けるうちはずっと働いていたい」とつねに語っている。Bさん(70歳、女性)は、前職の工場勤務では黙々と仕事をこなしていたが、現在は施設介護職員として家事援助や身体看護を担当している。Bさんは「人のお世話をさせていただくため、自分の体調管理にも十分気をつけています。利用者からの感謝の言葉が最大のやりがいです」と語る。(7)今後の展望少子高齢化がさらに進めば、人手不足は一層深刻となることから、高齢者は戦力として大いに期待される。また、「一億総活躍」、「女性活躍」、「生涯現役」が時代のキーワードになっているいま、高齢者を積極的に採用し、働く意欲のある人が長く働き続けるために柔軟な雇用形態や職場環境の整備に一層力を入れていく。2019年4月にはグループ施設内に託児所をオープンし、女性活躍の場の創出に全社をあげて取り組んでおり、100歳まで働ける職場を目ざすという高い目標に、総力をあげて立ち向かっている。休憩や待機、サークル活動などの際に利用される多目的ルーム利用者からも職員からも頼りにされている91歳の現役看護師Aさん

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