エルダー2019年10月号
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特集エルダー252019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ0年に指定自動車教習所制度が制定されたことがある。1969年に青森モータースクールを開設の後、1971年にはマルエス自工株式会社に商号変更、1990(平成2)年には交通教育センターを設置した。さらに2008年、地域交通支援センターを開設し、ケア輸送サービスの従事者に対する国土交通省認定講習に着手した。2013年に経営理念を「私たちは安全な交通社会人の育成により、事故の無い社会づくりに貢献します」に刷新し、それを期に株式会社ムジコ・クリエイトへ商号変更した。また、自動車教習所としては日本初となる道路交通安全マネジメントシステムの国際規格ISO39001を取得、組織としてのPDCAサイクルの考え方が浸透しつつある。また、2014年には事故のない社会づくりを実践すべく、企業をターゲットとして全国に交通安全教育を提供するための「東京営業所」を開設。2018年6月からは若手講師によるドローンスクールを開講するなど着実に業容を拡大している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ従業員の高齢化が進み、定年年齢に達する従業員が増加傾向にある。240人の従業員のうち、60歳以上は42人で全体の2割弱を占めており、70歳以上の従業員は2人で、最高年齢者は75歳である。高齢従業員は、指導員、検定員、送迎、営業、受付、事務、あるいは幹部と、幅広く活躍している。少子化による経営環境の悪化が進むなか、新規事業を推進する一方で、既存事業である免許取得者への教習・検定業務を担当する有資格者の確保が喫緊の課題であった。それに対応するため、「健康で能力と意欲がある限り、いつまでも働き続けることができる環境づくり」を新たな方針として掲げ、高齢者にとってよりよい職場環境の整備を目ざした。具体的には、役職者全員で新たな企業ビジョンを策定し、ビジョンの実現のために全従業員参加のプロジェクトを立ち上げた。プロジェクトでは課題ごとにチーム体制で検討を行い、制度面の改正や意識・風土面の改善を推進している。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善・継続雇用制度の整備定年再雇用者の名称を「シニアスタッフ」とし、「シニアスタッフ就業規則」を作成した。66歳以降も健康上の問題がなければ1年更新で70歳まで雇用を継続する運用を行っている。・柔軟な勤務形態業務の少ない時期は、本人の希望により早めに退社することができるように配慮したことで、シニアスタッフの疲労の軽減やリフレッシュにつながった。・賃金・評価制度の導入シニアスタッフの初任給は、シニアスタッフ就業規則により、職務内容、技能、経験、職務遂行能力などを考慮のうえ決定される制度を構築した。また、シニアスタッフの格づけは、①高度専門職群(コンサルティング、講師、研究開発など、年俸制)、②専門職群(教習、講習、営業、経理、総務など、時給制または日給月給制※1)、③一般職群(送迎、営繕など、時給制)とした。・定年再雇用後の賃金・評価制度シニアスタッフの賃金は、人事評価および担当する職務に基づき、毎年6月に改定される。この評価制度は2014年に試験運用を開始※1 日給月給制……1日を計算単位として給料を定め、毎月一回まとめて支払う給与体系のこと株式会社ムジコ・クリエイトが運営する弘前モータースクール

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