エルダー2019年10月号
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2019.1026し、翌年から施行した。人事評価の項目としては、「業績評価」+「職務行動評価」+「基本行動評価(従業員に共通して求められる行動、管理職に共通して求められる行動を評価)」+「シニアスタッフ(パートナーシップ、フォロワーシップ)」があり、それらを総合評価する。うち、業績評価は、「全体業績+事業所業績+部門業績+個人業績」を評価し、組織と個人の両方で高いパフォーマンスが発揮された場合に、より高い評価となる仕組みとした。シニアスタッフの基本行動評価としては、「経験などを後輩に伝える」、「後輩のサポート」、「上司のサポート」などがあり、経験を活かしたサポート的役割も期待されている。・福利厚生シニアスタッフの福利厚生を正規従業員と同じ処遇としたことで、満足度の向上につながった。さらに、死亡退職年金制度※2が適用となり、扶養する子どもがいるシニアスタッフに高い安心感を与えている。(2)高齢従業員を戦力化するための工夫シニアスタッフのモチベーションの維持・向上のための工夫として、四半期に一回の面談を設定している。面談によって会社が求める役割や責任が明確化され、仕事に対するフィードバックを行うことで人事評価や賃金に対する納得性が高まった。また、定期的な面談のみでなく、能力開発のための研修を受講する場合は、研修の前後に面談を実施。事前面談では受講目的の明確化や本人の意欲を確認し、事後面談では研修内容の口頭による復命を受けるほか、報告書を提出させている。コミュニケーションの機会が増えたことで、信頼関係が構築され、意見の吸い上げによる業務改善にも大いに効果が上がっている。(3)意識・風土の改善職場風土の改善や従業員の意識啓発の取組みとして、月一回の勉強会やランチミーティングを実施している。勉強会では、教習や検定など業務面に関するテーマのほか、外部講師による講演や、グループディスカッションなどを行っている。グループ分けの際は、コミュニケーションを図るため、普段は顔を合わせない部署や役職の者を混成させるよう工夫している。また、ランチミーティングでの飲食物は各自が持参する場合が多いが、飲食店で行ったり、材料を買ってきてカレーをつくったりすることもある。親睦を図りながら、高齢従業員から若手従業員への知識や経験の伝承の場となっている。一方、昨年初めて実施した従業員アンケートは、従業員の要望を吸い上げる格好の機会となった。例えば、「視力の衰えにより、特に冬場の夜間の路上教習では見えづらい」という意見に対し、所内教習を担当させるよう調整し、「給与の安定性を確保したい」という意見に対し、日給月給制を導入した実績がある。アンケートによる要望が各種制度の策定や雇用条件に反映されることから、従業員からも歓迎の声が上がっており、今後も実施する予定である。(4)能力開発に関する改善有期雇用契約従業員を除く従業員を対象に、年一回キャリアプランシートを作成。本人がやりたいことやそのために必要な研修や、資格などを明確にしたうえで、それらにかかる費用や時間的な支援を実施している。この支援は、「人の成長こそ、わが社の成長です。一人ひとりは自らの無限の可能性に挑戦し、会社はその成長に最大限の支援を行います」という人事理念を具現化したもの。もちろん、業務にかかわる研修や資格取得が優先されるが、本人のキャリア※2 死亡退職年金制度……年金受給者が死亡した場合、遺族給付金を遺族に支払う同社独自の企業年金制度研修会の様子

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