エルダー2019年10月号
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特集エルダー272019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ形成につながる挑戦であれば、産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、交流分析士、交通心理士の資格取得のほか、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士の受験なども支援の対象となる。また、シニアスタッフのキャリアプランには健康に関する記載が多いことから、要望の高い健康対策とリンクさせる形でサポートしている。能力開発に関する多岐にわたる支援により、高齢従業員も含めた従業員のモチベーションが維持され、生涯現役を可能とする仕組みの一つとして機能し始めている。(5)健康管理・安全衛生従業員の健康管理対策として、さまざまな制度を導入した。具体的には、35歳以上の従業員を対象にした生活習慣病の予防健診と、55歳以上を対象とした肺がんの喀かく痰たん検査や乳がん検診などの全額負担をはじめ、がん検査キットを使用した検診(2年に1回)の実施、出勤時における血圧測定や心拍測定などの健康チェックおよびアルコールチェック、さらにシニアスタッフには柔軟な勤務形態がある。いずれも高い利用率となっており、シニアスタッフを含む従業員の健康への意識は高まっている。また、安全が優先される職場であるため、出勤の際の健康チェックやアルコールチェックは、健康だけでなく、従業員のコンプライアンスに対する意識向上にもつながった。(6)高齢従業員の声Aさん(68歳、男性)は、定年前は教習指導員の育成を担当し、定年後は本人の希望で教習業務に従事、フルタイムで働いている。経験豊富で人柄もよいAさんは教習生の評価が高いだけでなく、若手従業員からも慕われ、よい手本となっている。Aさんは「定年を過ぎても働ける環境があり、人事評価が給与に反映されることにやりがいを感じています」と元気に語る。Bさん(61歳、女性)は、フルタイムで受付・事務を担当している。勤続35年を誇り、入社以来、お客さまの対応からバックヤードでの事務作業までマルチにこなしてきた。豊富な知識と経験から周囲の信頼も厚い。(7)今後の展望検定員や指導員など専門資格が必要な職種について若手を育成し、長く働いてもらえる職場環境の構築を目ざしており、送迎など専門資格が不要な業種では、高齢者を積極的に採用することを考えている。全員参加のプロジェクトの立ち上げをはじめ、さまざまな取組みの効果が現れており、今後は、継続雇用を希望者全員70歳にする方向で検討中。定年延長についても議論を重ねていく予定である。今年3月に「あおもり働き方改革推進企業」の認証を取得した同社は、全社をあげて一つの目標に向かっていく姿勢を貫いており、今後の新たな挑戦が期待される。技能教習と学科の両方を担当しているシニアスタッフのAさん受付・事務をフルタイムで担当しているBさん

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