エルダー2019年10月号
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特集エルダー312019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠなった。・キャスターつきの作業台を導入作業台にキャスターをつけ、商品の移し替えや持ち運びを不要にした。体力面の負担軽減になったほか、作業効率も大幅に向上した。既存の台の脚に取りつけるだけでよく、安価な投資で改善ができたこともポイントである。・運針針折防止ガードの取りつけミシンに透明の小さな板(運針針折防止ガード)を取りつけ、針が折れた際に作業者の方へ飛んでくるのを防止している。簡単に動かせるようになっており、作業の邪魔にならないよう、位置を調整することも可能である。(4)能力開発に関する改善全従業員多能工化の方針であるため、採用後はさまざまな作業ができるようにていねいに指導している。工場長が各従業員の能力を見きわめ、段階をふんでできる作業を増やしていくが、柔軟な勤務体制により相互に補い合うことがあたり前の社風であるため、助け合い、研けん鑽さんし合える体制が構築されている。多能工化の実現により、各人の技術や知識がラインの全員に伝授・共有化されており、自然な形で高齢従業員の技能や知識が継承されている。(5)健康管理・安全衛生加齢にともなう健康状態は個人差が大きいことから、同社では健康管理は基本的に自己管理としており、年一回の健康診断時に問題があれば2次健診や医療機関のあっせんなどを行っている。同社では休暇取得や勤務体制の切り替えが容易であるため、体調が悪ければ休む、体力の低下を感じたら出勤を減らす、といった形での自己管理が容易となっている。従業員の親睦を図るレクリエーションについては従業員が自ら企画し、花見や忘年会、日帰り慰安旅行などを実施しており、高齢従業員の参加率も高い。(6)高齢従業員の声Aさん(75歳、女性)は創業当初から勤務する大ベテランで、技術・経験を見込まれサンプル室にて縫製加工を担当。最高齢だが、元バレーボール選手で体力もあり、フルタイム勤務を元気にこなしている。外国人技能実習生の指導も担当しており、親のように実習生に接する姿は、ほかの高齢従業員の模範となっている。Bさん(64歳、男性)も、勤続30年の大ベテラン。フルタイムで縫製オペレーターとして活躍し、温厚な性格から周囲の相談役をになっている。手先が器用で、運針針折防止ガードの設置もBさんが行った。(7)今後の展望縫製業界を取り巻く環境は依然厳しいが、事業存続を最優先することが、地域の雇用の場の確保につながるため、今後も、地域経済活性化に寄与することを、経営目標として掲げる。創業以来の理念に基づき、多能工化による高齢従業員の戦力化のさらなるパワーアップを目ざして、不断の努力が続く。キャスターつきで、製品の移動も楽な作業台創業当時から勤務する大ベテランのAさん(75歳)

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