エルダー2019年10月号
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2019.1040今回は、松尾青果の生産部で青果栽培を担当するお二人に話をうかがいました。1年を通して自然に接して働く青果づくり太おお田た春はる男おさん(60歳)は、ジャガイモ、レタス、玉ねぎの畑づくりから収穫、選別、出荷まで行う生産部で5年前から生産部長を務めています。太田さんは青果づくり一筋。47歳で同社に入社する前も同業の会社に勤めていました。取材日の7月下旬は草刈りなど畑づくりの時期で、真夏の日差事業内容や高齢者雇用の取組みはもちろんですが、特に『朝は希望に目覚め、昼は努力に生き、夜は感謝と反省に眠る』という経営理念と、社長が社員を前にして躊ちゅう躇ちょなく発する『社員は私の宝物です』という言葉に感銘を受けました」と話します。それから今日まで、全面的な経営支援を続けています。藤澤プランナーが提案し、支援した取組みは次の通りです。①経営理念の見える化と基本方針の策定、②「MACSS(松尾農業地域支援)※32020戦略」の提案、③中高齢者向け意識向上自己戦略セミナーの実施、④行動基準書の策定(企画立案)、⑤高年齢者雇用開発コンテスト応募※4、⑥長崎県Nぴか認証取得支援※5このうち、「中高齢者向け意識向上自己戦略セミナー」では、地元・長崎の大学で教鞭をとっていたこともある藤澤プランナーが自ら講師を務め、45歳以上の社員を対象に「生涯現役で生きるために」、「高齢者のパワーを生かすために」というテーマの講演をはじめ、自己点検や、グループディスカッションを行いました。研修後に中高齢社員から「これからも希望を持って自分の力を発揮していきたい」、「仕事の仕方を見直し将来を見つめ直したい」など前向きな感想が聞かれました。セミナーは以降も継続的に実施しています。 ます。全国リレー集出荷システムにより、高齢のパート社員が年間を通して働く環境が整いました。65歳以降は上限なく希望者全員を再雇用松尾青果の定年年齢は、65歳です。65歳以降は、希望者全員を年齢の上限なく再雇用することを2015年3月に就業規則に明記しました。改定前は「会社が必要と認めたものについては勤務延長することがある」とされていましたが、実際は希望者全員を再雇用していたことから、明確に制度として定めることで、社員の将来への不安を取り除き、安心して働き続けられるように制度を改めました。また、高齢者が働きやすい職場づくりとして、20年前からサマータイム制を採用し、原則8時から17時までの勤務時間を、炎天下をさけて5時から12時に変更。現場作業を涼しい時間帯に行い、社員のやる気と作業効率の向上を図っています。高齢者雇用支援をはじめ、経営を全面支援藤澤プランナーは、2014年4月、長崎市内から車で2時間かけて南島原市にある同社を初めて訪問しました。「『こんなところに、こんな会社があるのか!』、と感動したことを覚えています。トラクターを操縦し、広大な畑の草刈りを行う太田春男さん※3 MACSS……Matsuo Agriculture Chiiki Saisei Shien※4 2015年度高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長表彰 特別賞受賞※5 Nぴか……「長崎県誰もが働きやすい職場づくり実践企業認定制度」の略。年齢・性別に関係なく、だれもが働きやすい環境づくりに積極的に取り組む県内企業を、県が優良企業として認証する制度

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