エルダー2019年10月号
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2019.1042ベテラン社員のモチベーション向上へ1人で延べ1800人と面談65歳までの雇用が一般化している今日、働く意欲が失われやすい50歳前後のベテラン社員のモチベーションの向上が大きな課題になっている。対策としてキャリア研修などによってマインドチェンジに取り組む企業も多いが、期待する効果を上げられない企業も少なくない。そのなかで、一対一の面談を軸に着実に成果を積み上げているのが「NTTコミュニケーションズ株式会社」だ。同社の平均年齢は44・5歳(2018︿平成30﹀年)。40歳以上が全体の7割を占め、50歳以上が37%とシニアの比重も高く、50歳到達者なぜ一人で全員と面談をしているのか。浅井氏はそのきっかけについてこう語る。「経営課題として中高年の活性化策を人事部が提案したとき、当時の副社長から『ベテラン社員のモチベーションが本当に下がっているのか、取組みの前に現状を調べてほしい』といわれたことがきっかけです。そこで、現状を把握するために、年齢的に節目となる50歳の非管理職全員の面談をすることになりました。その方針を副社長に報告すると、『複数人で面談をすると、一人ひとりの見る目や秤はかりが違うので現状の把握にならない。秤の正確さは問わないので、面談は一人が担当するように』、『全員と面談を行い、当社のベテラン社員の働き方や価値観に精通した人材がいれば、会社としても有用で心は毎年200~300人に上る。2014年から非管理職の50歳全員を対象に面談をスタートしている。面談が終了した3~4カ月後に実施している面談対象者の「行動変化」に対する上司へのアンケート調査によると、常に7~8割の上司が前向きな行動変化があったと回答しているという。なぜこうした成果が生み出されるのか。プログラムは、「キャリアデザイン研修」、「キャリア面談」、「面談結果の上司へのフィードバック」の三つの流れで構成される。研修はあくまで面談のための動機づけであり、中心となるのは面談だ。しかも同社ヒューマンリソース部人事・人材開発部門の浅井公こう一いち担当課長が一人で、全員と直接面談をしているのが大きな特色だ。 生涯現役時代を迎え、就業期間の長期化が進むなか、60歳以降も意欲的に働いていくためには、高齢者自身のスキルアップ・能力開発が重要になるといわれています。つまり、生涯現役時代は「生涯能力開発時代」といえます。本企画では、高齢者のスキルアップ・能力開発の支援に取り組む企業の施策を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説します。高齢社員の磨き方―生涯能力開発時代へ向けて―高齢社員の高齢社員の―生涯能力開発時代へ向けて高齢社員の―人事ジャーナリスト 溝みぞ上うえ憲のり文ふみ最終回NTTコミュニケーションズ株式会社(東京都千代田区)

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