エルダー2019年10月号
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エルダー3きないでしょう。しかし、三十数名の社員のうち、数人は1号店のときからの仲間で、私と商売の思想を共有しています。その後、外食業界の経験者や異業種からの人が、この会社の理念に共感し、特に求人活動もしていないのに訪ねてきて入社しました。彼らは見習い期間を経て、店長や調理場のチーフ、本部スタッフといった幹部になっています。 ですからいまは、20から30くらいの駅ができてレールを守る人がいて、機関車を走らせている状態です。将来はフランチャイズ店を含めて150店舗くらいまで増やす予定です。つまり、駅の数はさらに増えます。いま店長には20代から60代まで幅広い年齢層の人がいます。理念とする価値は現場で発現するものなので、現場のトップである店長を中核として、地域ごとに採用するパートタイムのクルーを育成する。マニュアルはありますが、現場で適切な判断をして柔軟に運用します。 社長、部長、店長、社員など、いろいろなポジションがありますが、それは商売をするための役割の違いにすぎません。それぞれの立場の人が、それぞれの役割を遂行するなかで、「レストランとはこうあるべきだ」という理念を共有し、追い続け、実を結ばせていく。そういう形ができ上がりつつあります。―クルーを含めて500名ほどの方が働いていて、そのうち社員は三十数名とのことですが、60代以上の社員はどれくらいいらっしゃいますか。横川 最高齢(81歳)の私を含めて十数名です。本部のスタッフが多いですが、店長やチーフとして、または工場など、現場の第一線で指揮をとっている人もいます。世間では65歳まで継続雇用などという話題に花が咲いていますが、私から見れば65歳なんて年寄りでも何でもありません。―60代以上の社員に対してそのような受け止め方をされているので、「60歳を過ぎても活躍できる条件は?」という定番の質問がし 商品やサービス、技術や方法は社会の変化に合わせて柔軟に変えていく必要がありますが、大事なのは、変えるべきでない「経営の思想や理念」を確実に受け継ぐことができるよう、後継者を育てることです。―もう次の世代にバトンを引き継げる用意はできていますか。横川 いまの私は、気力も体力も衰えたという自覚はまだありませんが、さすがに90歳を迎えるころまで同じ状態を維持することはで経営理念はレールのようなもの向きや幅を変えたら機関車は脱線する

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