エルダー2019年10月号
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2019.1058EIWLSEニュース ファイル2019.10行政・関係団体 「過労死等の労災補償状況」を公表厚生労働省厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の労災補償状況についてまとめた、2018(平成30)年度「過労死等の労災補償状況」を公表した。それによると、脳・心臓疾患の労災請求件数は877件で、前年度(840件)と比べ37件(4・4%)増加した。また、業務上認定とされたのは238件(当該年度内に業務上認定とされた件数で、当該年度以前に請求があったものを含む。以下同じ)で、前年度(253件)と比べ15件(5・9%)減少している。請求件数は4年連続の増加、業務上認定件数は2年連続の減少となった。年齢別にみると、請求件数は「50〜59歳」297件、「60歳以上」267件、「40〜49歳」246件の順で多く、業務上認定とされた件数は「50〜59歳」88件、「40〜49歳」85件、「60歳以上」41件の順に多い。次に、精神障害についてみると、労災請求件数は1820件で、前年度(1732件)と比べ88件(5・1%)増加した。また、業務上認定されたのは465件で、前年度(506件)と比べ41件(8・1%)減少している。請求件数は6年連続の増加、業務上認定件数は3年ぶりの減少となった。なお、精神障害にかかわる労災請求事案の場合、精神障害の結果、自殺(未遂を含む)に至った事案があるが、2018年度は1820件中200件(うち業務上認定76件)となっている。「セルフ・キャリアドック」導入支援の拠点を全国5カ所に開設厚生労働省厚生労働省は、2018年度から企業の「セルフ・キャリアドック」の導入を無料で支援する拠点を設置し、支援を行っている。2019年度は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5カ所に拠点を開設した(前年度は東京と大阪の2カ所)。「セルフ・キャリアドック」とは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施することを通して、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組みのこと。従業員の仕事に対するモチベーションアップや、定着率の向上などにより、企業の生産性向上にも寄与することが期待されている。開設した5カ所の拠点では、企業内の人材育成・キャリア形成に精通した専門の「導入キャリアコンサルタント」を配置し、セルフ・キャリアドックの導入を検討する企業の状況や要望に応じてアドバイスを行う。また、企業内でキャリアコンサルティングの機会を得ることがむずかしい人からの、仕事や将来のキャリアに関する相談にも専門のキャリアコンサルタントが応じる。受付時間は、月曜から金曜の午前9時〜午後5時まで(年末年始、祝日を除く)。【申込み・問合せ先】﹇電話﹈札幌03(3230)2445、東京03(5577)4710、名古屋 03(3230)3326、大阪03(6261)7174、福岡03(6261)7524 ※全拠点がIP電話のため、電話番号は03から始まる障害者雇用実態調査の結果を公表厚生労働省厚生労働省はこのほど、2018年6月に実施した「2018(平成30)年度障害者雇用実態調査」結果を公表した。同調査は、民営事業所における障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年ごとに実施している。今回初めて、発達障害者についても調査を行った。従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は82万1000人。内訳は、身体障害者42万3000人、知的障害者18万9000人、精神障害者20万人、発達障害者3万9000人。障害者を雇用する際の課題としては、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者ともに、「会社内に適当な仕事があるか」が最も多くなっている(身体障害者71・3%、知的障害者74・4%、精神障害者70・2%、発達障害者75・3%)。雇用している障害者への事業主の配慮事項としては、身体障害者については「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」が最多(51・9%)で、知的障害者、精神障害者および発達障害者については「短時間勤務等勤務時間の配慮」が最多(知的障害者57・6%、精神障害者70・8%、発達障害者76・8%)。障害者雇用を促進するために必要な施策としては、身体障害者については「雇入れの際の助成制度の充実」が最も多く(58・3%)、知的障害者、精神障害者および発達障害者については「外部の支援機関の助言・援助などの支援」が最も多くなっている(知的障害者62・3%、精神障害者64・2%、発達障害者65・8%)。

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