エルダー2019年10月号
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特集エルダー72019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠ「2019年度高年齢者雇用開発コンテスト」の審査が終了しました。審査委員を代表し、応募いただきましたすべての企業・団体の関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。今回は全国から101編の応募を受け、厳正な審査の結果、厚生労働大臣表彰は、最優秀賞1編、優秀賞3編、特別賞2編、また、高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰は、24編が入賞を果たしました。最優秀賞を受賞した医療法人社団五ご色しき会かい(香川県)は、ワーク・ライフ・バランスの実現に重点を置き、高齢者を含むすべての職員が働きやすい環境整備に努めています。70歳超の就業を可能とする体制を構築するとともに、全職員を対象とする面談を通して、制度の充実や作業環境の改善に現場の声がしっかり反映されていることも高く評価されました。優秀賞の株式会社建設相互測そく地ち社(福島県)は、若手育成や技術継承、品質チェック機能など高齢者の役割を明確化し、同時に高齢者が中心になって「仕事の見える化」にも取り組んでいます。柔軟な勤務形態の導入や、健康管理に先進的な検査項目を加味していることも評価のポイントです。同じく優秀賞を受賞した松川電氣株式会社(静岡県)は、人を大切にする社風のもと、定年後は運用により上限年齢を設けず働くことが可能で、人事評価制度の導入や雇用期間の無制限化、あるいは現役のままの賃金水準など、生涯現役で働ける環境の整備によって高齢者の戦力化を実現しました。同じく優秀賞の社会福祉法人いろどり福祉会(三重県)は、91歳の現役看護師の存在を生涯現役のシンボルとし、高齢者が元気に長く働ける職場づくりを目ざして、賃金レベルの引上げなどに取り組んできました。また、介護負担軽減のための作業環境の改善が高齢者の戦力化につながっています。特別賞を受賞した株式会社ムジコ・クリエイト(青森県)は、生涯現役を可能にする職場づくりを目ざし、制度の改正や意識・風土の改善に積極的に取り組み、再雇用後も業績が賃金に反映される仕組みを構築。シニアスタッフの働く意欲の向上につながりました。同じく特別賞の株式会社アパレルオオタ(長崎県)は、多能工化により高齢従業員の戦力化を実現しました。従業員が経営に参画する意識が高まり、積極的によりよい職場環境づくりを進めるなかで、生産性向上を達成したことも評価されました。中小企業を中心に65歳超の雇用が進展をみせるなか、今回の審査では、65歳以降も、加齢による体力の低下などを補いながら、高齢者自身が持つ能力を最大限に引き出せる仕組みづくりが進んでいることを感じました。年齢にかかわりなく活躍できる環境を整えるためには、画一的な対応ではなく、一人ひとりの高齢社員と向き合い、個別に対応していくことが欠かせません。受賞企業の取組みを参考に、生涯現役職場がさらに広がっていくことに期待しています。審査委員長からのメッセージ高齢者を主戦力としてとらえ能力が発揮できる職場環境整備の取組みを評価法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 藤村 博之

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