エルダー2019年11月号
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2019.1118での提案を経て最終決定した。賃金については、賞与は経験と人事考課に基づいて年2回支給、金額に差がつく理由も各人にフィードバックしている。継続雇用者の時給も人事考課の結果であり、時給のベース額に研修に参加した回数、日ごろの働きぶりなどを点数化して加算している。・柔軟な雇用形態と業務の可視化職員の家庭の状況などに応じて、柔軟に働ける体制を整えている。短時間勤務は明文化されていないが、必要に応じて職員の希望を受け入れているほか、タイムスケジュール表を毎日作成し、だれが不在になるか、だれが代行できるかを「見える化」。この表により、業務の担当状況の明確な把握が可能となり、居場所を探すなどの時間が省けることで、業務の効率化につながった。また、子どもの学校が臨時休校のときなどは、子連れの出勤を認めており、将来的には託児所の設置も検討している。(2)高齢職員を戦力化するための工夫 ・作業環境改善現在の建物を新築する際、施設全体の設計にスタッフの意見を積極的に取り入れた。例えば、調理の負担を軽減するための厨房への「スチームコンベクション」※2の導入や、身体的負担を軽減させるための椅子型の介護入浴用リフトの採用など、現場の意見を取り入れたものも多い。また、二つの風呂場をつなげて職員一人で利用者2人を同時に見守れるようにしているほか、利用者がつかまりやすい格子型手すりや溝がついたバスタブの設置、トイレは車椅子のまま方向転換なしで入ることができ、おむつが詰まった場合に備えて便器横に取り出し穴をつけるなど、さまざまな工夫を凝らしている。さらに、夜間の見守りを手厚くするため、入居者の個室内に人感センサーをつけ、ベッドの周囲などから身体がはみ出した場合はスタッフが携帯しているタブレットに通知が届き、画面上で部屋の様子を確認することもできる。同社がスタッフの意見を参考に大手住宅メーカーに粘り強く交渉して実現した施設は、県内外から大きく注目され、介護関係者の見学が後を絶たないという。(3)意識・風土面の改善・「ありがとうカード」の活用職員同士が仕事を進めるうえで、何かをしてもらって嬉しかったときに感謝を示す「ありがとうカード」という施策を取り入れている。もともとは新入職員の教育の一環として始められたものだが、最近は若手職員から高齢職員に向けての「ありがとうカード」が増えている。会社として強制はしないが、部門担当主任が「ありがとう」の気持ちを率直に言葉に表すよう周知しており、壁に貼られたカードは高齢職員を励ますと同時に若手職員の意識向上に役立っている。・ワイガヤ会議スイーツやコーヒーでリラックスしながら仕事をテーマとした意見交換を行う「ワイガヤ会議」を実施している。部署も年齢も関係なくさまざまな職員が参加することで、相互理解の向上につながっている。・役割分担の促進身体的負担から、年齢によってはむずかしいと思われるケアの方法があるため、職員をグループ分けし、高齢職員には当該業務を免除、代替の業務を適宜割り振っている。若手職員は※2 スチームコンベクション……スチーム(水蒸気)と温風を用いて調理を行うオーブン壁に貼られた「ありがとうカード」

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