エルダー2019年11月号
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特集エルダー192019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡ負担の少ない身体の使い方など、自身が研修で学んだことを高齢職員に伝え、高齢職員は親や祖父母の介護を経験していることから、余裕を持って利用者を見守る姿勢を若手職員に学んでもらえるよう努力している。(4)能力開発  ・研修参加の促進食中毒や認知症などをテーマに月に1回、社内研修を実施している。また、都合により当該研修に参加できない職員のための「スタディウィーク」という制度を設け、翌々週の勤務時間中に同じ内容の研修を受講できる体制を構築している。そのほか、高齢職員向けには、同年代のグループで参加可能な外部研修への参加を奨励している。・マニュアルづくり従来、パソコンとタブレットで業務マニュアルを整備してきたが、タブレット操作が困難である高齢職員のため、紙ベースのマニュアルも作成している。マニュアルは、写真を多く取り入れており、可視化したことで「わかりやすくなった」と高齢職員から好評である。(5)健康対策・健康管理希望者全員に、腰痛防止ベルトや冷感マフラーを配布している。また、インフルエンザの予防接種については費用の半額を会社が負担しており、全員が接種している。・相談窓口の設置高齢職員と若手職員それぞれに相談窓口を設置、相談担当者には同年代の役員を配置し、話しやすい環境が整備された。何でも気軽に相談できることでメンタルヘルス不調の改善にも役立っている。・通勤への配慮同社事業所は山中に位置するため、高齢職員にとっては、マイカー通勤の際の危険も想定される。そこで、デイサービスの送迎バスを利用した通勤を認めている。職員がバスに同乗することは利用者を車内で見守ることにもつながり、また、利用者とのコミュニケーションも増加するという副次的効果も生まれている。(6)高齢職員の声Aさん(70歳・女性)は、看護職として月80時間の勤務をこなしている。現在の「笑楽日」の職場風土の土台を築いた人物で、看護と介護の両方の観点から利用者の体と心のケアを担当している。「みなさんが笑顔になってくれるよう、その人に合ったお世話を心がけています」とのこと。Bさん(68歳・男性)は62歳のときドライバーとして採用された。「送迎は笑楽日の最前線である」をモットーに、利用者の家族はもとより、地域の人たちとも交流を深め、大きな信頼を得ている。(7)今後の展望同社で働く高齢職員は「年齢的に引退を考えてもよいが、『これからも働いてほしい』といってもらえること、そして、無理せず働ける環境が整っているので、当面はがんばっていきたい」と会社の施策を支持している。仕事の簡略化や地域全体の高齢者を対象とした活動の拡大、さらなる社会貢献など、同社の目標は大きく、「一人ひとりの笑顔」をキーワードに理想の介護を追求しながら、高齢職員が活き活き働ける職場環境づくりにまい進していく。「ワイガヤ会議」

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