エルダー2019年11月号
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特集エルダー252019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡ(ノーリフト)」を推進するとともに、職員向けに酸素カプセルやウォーターベッド型マッサージ機を設置し、心身のリフレッシュを図れるようにしている。③では、上司との「トーキング」(面談)などにより、一人で悩みを抱え込まない体制を整えている。企業の沿革・事業内容Ⅱ滋賀県南部に位置する甲賀市土山町は、かつて宿場町として栄えた場所。郷土の人たちは、愛着を持ってこの地を「あいの土山」と呼ぶ。鈴すず鹿か馬ま子ご唄うたによって唄いつがれてきた言葉だ。この「あいの土山」を法人名に冠した社会福祉法人あいの土山福祉会(エーデル土山)は、1996年に認可を受け、1997年にデイサービスセンター、1999年に特別養護老人ホーム、ショートステイサービスセンター、2000年にケアプランセンターを開設。80人の職員が、入居者の豊かな生活をサポートしている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ60歳以上の職員は15人(男性6人、女性9人︿2019年9月時点﹀)。最高年齢は72歳で、介護職として活躍する70歳の職員もいる。職員全体の男女比は4対6程度で、女性が多い。平均年齢はおよそ45歳。若者からシニアまで幅広い年齢層の職員が働いている。なお、職員のなかには介護職の未経験者も多く、高齢になってから採用された人も少なくない。しかし、教育プログラムが整備されており、新人には1年間、年齢の近い先輩職員がメンター役としてつくので、未経験でも困ることはない。介護職は全国的に人手不足であり、増加する高齢者を支えるスタッフの不足が社会問題となっている。かつては同法人も深刻な人材不足に悩まされたが、人材を大切にする廣ひろ岡おか隆たか之ゆき施設長の方針を受け、2014年に「人材確保対策室」を設置。さまざまな改革を行ってきた。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善・70歳定年制を導入従来は、60歳を定年とし、その後は継続雇用としてきたが、2017年10月に、定年を一気に70歳に引き上げた。70歳以降は、制度はないものの、一定条件のもと、年齢の上限なく再雇用する。60歳で退職するのではなく、より長く活躍してもらいたいという思いがベースにある。・職員の処遇を改善賞与は3・6・9・12月の年4回支給し、業績がよければ、別途、年度末にも支給している。非常勤の職員にも、一定の賞与を支給している。定年延長後の毎月の給与は、60歳時の水準を原則として65歳まで据え置いた。全体の人件費は増加したが、「経験を活かして『現役』として活躍してもらえるなら、問題ない」ととらえている。・労働時間短縮とノー残業の徹底所定労働時間を、1日8時間から7時間30分に短縮し、年間休日も108日から114日に増やした。また、勤務終了後、次の勤務の開始まで少なくとも12時間の間隔を空けることを義務づける「勤務間インターバル制度」を導入。日勤業務も、原則3日以上連続勤務させないこととした。前エーデル土山

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