エルダー2019年11月号
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2019.1126月までに翌月の休暇希望を設定する「希望休暇制度」も導入し、休みたいときに休みやすい仕組みを整えた。また、『ワークライフバランスの栞』という小冊子を作成し、全職員に配布した。ワークライフバランスの大切さや残業撤廃に向けた法人の取組み、産前・産後休暇、育児休暇、介護休暇などの制度、イクメンスタッフのインタビューなどを読みやすくまとめている。そのうえで、出勤10分前まで入館不可とし、定時10分前に業務終了予告を行う「マイナス10分運動」、役職員が率先して帰宅する「カエル運動」、ミーティングの簡略化などを実践している。また、以前は、リーダー職員のみにPHSを渡していたが、インカムを介護職全員に配付し、職員間の伝達ツールとすることで、作業時間の効率化・コミュニケーションの円滑化を図っている。こうした取組みの結果、1人あたりの年間残業時間は0・07時間と、ノー残業をほぼ達成した。(2)高齢職員を戦力化するための工夫労働時間については、個人の事情に応じた勤務ができるよう、できるかぎりの配慮を行っている。例えば、家族の介護が必要になったら、本人と話し合い、一定期間は日勤のみにする、週3日勤務や午前のみの勤務にするなど、なるべく休まずに済むようにしている。また、普段から、だれかが急な休みをとっても現場が回る体制を整えている。一人ひとりの働き方に合った仕事を切り出すのは簡単ではないが、その手間を惜しまないことで、高齢職員をはじめ、障害者など、多様な人材が活躍している。ただし、労働時間や働き方の面では極力個別の事情を勘案する一方で、高齢になったからという理由で職種を変更することはない。当然、年齢を重ねると体力は落ちてくるので、今後は職種転換が必要なケースが出てくることも想定しているが、職種転換しなくても働き続けられる環境を整えることを目ざしている。それが、本人の能力や経験を活かすことになり、モチベーションの維持にもつながっている。(3)健康管理・安全衛生・移乗用リフト、浴室用吊上げ式リフトの導入職種転換しなくても働き続けられる環境改善のよい例が、各種リフトの導入による「抱え上げない介助(ノーリフト)」の推進だ。通常、介護業務では体力が必要な場面が多く、腰痛の原因にもなりやすい。特に入浴介助は、高齢の職員にとって大きな負担であった。しかし、いまでは、人力で抱える介助はほとんどないという。また、腰痛チェックも定期的に行っている。・酸素カプセル、 ウォーターベッド型マッサージ機の設置酸素カプセルやウォーターベッド型マッサージ機を職員のために設置した。時間予約制で自由に使うことができる。「疲労が回復し、次の業務への活力源になる」と好評である。・健康意識の啓発70歳まで元気に働いてもらうためには、法人として職員の健康をサポートするとともに、一人ひとりが自ら率先して健康を維持してもらう「抱えない介助(ノーリフト)」のため各種リフトを導入した

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