エルダー2019年11月号
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特集エルダー272019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡことが重要といえる。そこで、『健康経営 2020』という小冊子を全職員に配布した。そのなかでは、健康経営の方針を掲げ、意識啓発を行っている。①現役70歳まで働ける身体づくり②職員はもちろん、職員家族の健康増進も図る③具体的な数値目標とデータの見える化④生活習慣改善「4つの柱(睡眠、運動、食事、ストレスコントロール)」を理解する⑤あくまで職員主体の健康経営の数値目標を設定。◦5がん検診率100% ◦職員喫煙率0% ◦運動習慣率50% ◦定期健康診断における有所見率20% ◦メタボ率20%・トーキングの実施「メンタル不調ゼロ」に向けた取組みの一つとして、毎月「トーキング」と呼ぶ15分程度の役職員と職員の個人面談を行っている。定期的に顔を合わせて話をするので、悩みを相談しやすい。スーパーバイザーとして常駐する介護福祉士長や、男女の衛生管理者による「心の相談窓口」に相談することもできる。・職員間コミュニケーション全職員を職員イベントの対象とし、ほかのセクションの職員ともコミュニケーションが取れるようにしている。職員旅行は、以前は全職員で同じ場所に行っていたが、各人が楽しんで参加できるように、複数の選択肢を設け、小グループごとに実施する形に見直した。(4)高齢職員の声介護職員のAさん(66歳・女性)は入社8年目。以前も介護の仕事をしていた経験者である。一時、別の仕事に就いたが、「人とかかわることが好き」との思いから、同法人に就職した。いまも介護の現場で、フルタイムで働いている。「現在はショートステイの仕事を担当しており、どうしたらみなさんに楽しんでもらえるか、日々工夫しています。みんなでいろいろな作品づくりをするのですが、デイサービスのお迎えに行った職員から、以前つくったクリスマスツリーを玄関に飾ってくださっていると聞いたりすると、うれしくなります。久しぶりにお会いした方に『待ってたわ!』などといわれることも多く、この仕事は、私にとっても楽しみでもあり、生きがいでもあります」若い職員にも「仕事は楽しんでせんと損やで」とアドバイスをするAさん。長く働き続けるために心がけているのは、自身の健康管理。「最近は犬の散歩をよくします。それと何事も感謝です」と、いつも笑顔を絶やさない。(5)今後の展望同法人は、かつては労働力不足に陥っていたが、人材を大切にする数々の取組みを進めてきたことで、最近は入職待ちのエントリーがあるほどの状況になっている。離職率も格段に改善した。新卒者のなかには短期で退職する人もいるが、「やはりここで働きたい」と戻ってくることも少なくない(戻ってきやすいように、3年間有効の「再入職パスポート」を発行している)。こうした状況を維持し、職員の活躍をより後押しするため、今後は、これまで以上に職員の健康増進に力を入れる。『健康経営 2020』で掲げた数値目標を実現するとともに、70歳以降の雇用も見据え、これからも積極的に取り組んでいく方針である。フルタイムで働く介護職員のAさん

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