エルダー2019年11月号
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特集エルダー292019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡ企業の沿革・事業内容Ⅱ1963(昭和38)年に鳥取県岩いわ美み郡にて創業以来、山陰海岸国立公園、山陰海岸ジオパークに指定された浦うら富どめ海岸・但たじ馬ま海岸エリアで遊覧船運行事業を展開してきた。浦富海岸の複雑に入り組んだリアス式海岸の景観は「山陰の松島」として人気が高く、現在は8隻の遊覧船運航を柱に、地元食材を利用したレストランの運営や土産物品販売事業などを行っている。遊覧船(冬季1~2月運休)の利用者は、2015年ごろからツアーバスの運行規制強化により乗船客が減少し、会社全体の売上げが減少傾向にある。このため2019年5月、地元企業とのコラボレーションによる船上での「お祝い会・女子会」など、新たなサービスを行う「プレミアムクルーズ船」の運行に着手した。また、地元の名産品である「らっきょう専門店」の開店など、地域貢献を視野に置いた事業を推進している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ60歳以上の従業員7人のうち、5人がレストラン、2人が「らっきょう専門店」で勤務している。創業時から勤続55年を数える70代従業員もレストランで業務を担当しており、正規従業員として事務とレストランの補助を担当している。レストランでの業務には、そのほかパートタイマー4人が働いており、週4~5日の勤務をこなしている。標準化した作業手順書や調理業務のマニュアル化により、作業負担・コストの軽減を図るとともに、調理経験のない高齢者でも就労が可能な職場環境を整備している。一方、鳥取産のらっきょうの加工品を販売する「らっきょう専門店」には、パートタイマーの60代と70代の従業員が1人ずつ勤務しており、商品の特徴や調理法などの知識が豊富なため、顧客からの評判もよく、同社にとって欠かせない存在となっている。近年、遊覧船運行部門の船長2人が退職した。そのころ、社内の意思疎通不足・コミュニケーション不足によるモチベーションの低下が顕在化していたという。そこで、2017年に当機構の企画立案サービスを活用し、「財務的経営協力の強化・維持のためのモチベーションの高い職場・人材づくりと高齢化に対応する職場改善推進の取組み」をスタートさせた。また、同年には「鳥取県地域活性化雇用創造プロジェクト推進協議会」に川口博樹社長が参加し、同社が抱えるコミュニケーション不足などの課題解決に積極的に取り組んだ。具体的な取組みとして、全従業員を対象とした「職場改善ワークショップ」、「職場アワード(企業内表彰)」、「月間目標」などを実施。社長が陣頭指揮をとり、全社一丸となって職場改善を推進している。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善・定年制度2016年に定年を60歳から66歳に延長、定年後は運用により年齢の上限なく再雇用している。さらに、2019年3月には「定年後の継続雇用については、解雇・退職事由に該当しない従業員は、70歳までを継続雇用とし、継続雇飲食店を併設した遊覧船乗り場

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