エルダー2019年11月号
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特集エルダー312019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡ(3)意識・風土の改善・「経営理念、目標人材、月間目標」の明確化同社では経営者と従業員間のコミュニケーション不足が課題であった。このため川口社長自ら「生涯現役」で働ける職場づくりを目ざす会社の方針を全従業員に説明し、経営理念や会社が求める人材目標(だれとでもコミュニケーションがとれるなど)、月間目標(心身とも健康でいることなど)について具体的な説明を行った。この結果、従業員は会社が求める方針を理解し、月間目標において毎月の具体的な取組み・個々人の目標の発表を行い、達成状況が評価されることにより、業務への責任感が醸成されるなど、意識改革を図ることができた。 (4)能力開発に関する改善・研修制度レストラン業務における接客については、これまで個々人の判断に任せてきたが、会社として一律のサービスを提供する必要性・高齢従業員の接客技術向上を図るため、会社負担により市町村で開催される接客研修に高齢従業員を参加させているほか、外部講師を招いた研修も実施している。研修に参加することで高齢従業員の意欲が高まり、業務改善に対しても積極的な姿勢が見られるようになった。(5)健康管理・安全衛生・「ストレッチ体操」の実施同社では、毎日の朝礼時に全職員を対象とした「ストレッチ体操」を実施している。食材や商品の移動、遊覧船の準備など身体的作業も多いことから、始業時に体操することで適度の緊張感がめばえる一方、体がリラックスした状態で作業ができるため、けがの防止にも効果を上げている。・休憩室の設置高齢従業員が勤務するレストランに隣接する場所に、エアコンつきの休憩室を設置した。また、厨房の一角には椅子を配置し、厨房・配膳による立ち作業の多い高齢従業員の負担軽減を図るため、少しの空き時間においても休憩ができる環境を整備した。・「菜園」の設置野菜づくりを趣味としている高齢従業員がいることから、高齢従業員の健康管理の一環として、会社の敷地内に菜園を設置した。菜園の管理は業務の合間に行い、収穫した野菜は会社のレストランに食材として提供される。土に触れ、会話も弾むことでストレス解消に一役買っている。(6)高齢従業員の声最高齢のAさん(76歳・女性)は、創業当時からの勤続を誇り、現在も正規従業員として、フルタイムで事務とレストランの補助を担当している。事務の仕事においては若手従業員に教わりながらタブレット端末を使いこなすなど、自ら学び活き活きと働く姿勢が、若い世代のお手本となっている。また、勤務日や・勤務時間など、生活状況にあわせた柔軟な働き方が可能なことから、「これからも健康であるうちは働き続けたい」と話している。(7)今後の展望同社では、今後、「定年制の廃止」も検討していきたいと考えている。高齢従業員と若手従業員の連携をさらに強化して「お客様の笑顔のために」という経営理念を具体化した事業を展開し、「安心して働け・働きやすく・心地よく働ける職場づくり」を目ざして、全社一丸となった挑戦が続く。外部講師を招いて行っている研修

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