エルダー2019年11月号
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特集エルダー352019年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡ格好の場にもなっている。原則自由参加としているが、徐々に参加人数が増えてきており、参加者同士がいろいろな悩みを相談しあい、ストレスを解消する場となっている。また、若手職員が高齢職員から仕事上のアドバイスを受けることもあり、さらに経営者にとっては情報収集の場でもあることから、「なぁなぁの日」は職場コミュニケーションの推進に大いに役立っている。(4)能力開発に関する改善・ペア就労による技術継承若手職員は時に、掃除や洗濯の仕方で不手際を起こすことがあった。そこで、掃除・洗濯担当を、若手職員と高齢職員とのペア就労にしたことにより、若手職員が高齢職員のテクニックをマスターすることができ、居室の掃除や洗濯物のたたみ方などの作業において、時間短縮、整理整頓などの技術が向上してきている。また、送迎時においても、高齢職員と若手職員がペアで利用者へ対応しており、実際に対応時の留意点を目の当たりにできることから、若手職員からはとても分かりやすいと歓迎されている。さまざまな場面で若手職員と高齢職員がペアで働くことによって、若年層のスキルアップを図ることができ、職場全体においてもレベルアップが図られ、利用者からも好評である。(5)健康管理・安全衛生・健康診断の実施と看護師相談の活用看護師として施設利用者の調剤などに従事する高齢職員が、健康診断の結果に対してアドバイスを行うなどの健康相談の窓口となっていることで、気軽に相談できる雰囲気が醸成され、職員の健康意識の向上に役立っている。・インフルエンザの予防注射実施2018年度より、契約している医療機関が来所してすべての職員にインフルエンザの予防接種を行っている。2017年度は5人が罹患したが、全員の予防接種実施によって、2018年度のインフルエンザに罹患した職員は1人もいなかった。・休憩時間の確実な履行十分な休憩が取りにくい業種であることから、就業規則に決められた休憩時間をとるよう、各部署が意識して声かけ運動を実施。また、休憩時間の取得を毎日チェックするようにしたことで、休憩を確実にとれるようになり、職員の集中力が高まり、業務中のケアレスミスが発生しにくくなっている。(6)従業員の声2015年度入社の看護師のAさん(63歳・女性)は正規職員としてフルタイムで勤務。看護師経験を活かしたきめ細やかなサービスが、利用者から好評を得ている。「高齢社会に適合した新たな環境で、これまでの経験と知識を活かすことができ、やりがいを感じます」とAさん。また、同社の最高年齢者Bさん(78歳・女性)は週3日、1日5時間の勤務を元気にこなしている。創業当初から施設の清掃を担当。そのていねいな仕事ぶりは利用者に喜ばれるだけでなく、若手職員のスキル向上につながっている。(7)今後の展望人材確保が困難な介護業界にあり、高齢職員の豊かな経験を活用することは、今後ますます必要不可欠であると考え、高齢者雇用を人事戦略の一環として位置づけている。具体的施策として、社内に「働き方改革担当」(仮称)を設置。健康で働くことで、だれもが生きがいを感じることができる人事制度の仕組みと、意識啓発を図っている。高齢職員の戦力化促進の高い峰を目ざして、同社の新たな挑戦が続く。高齢職員と若手職員がペアとなり仕事をしている様子

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