エルダー2019年11月号
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2019.112株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当(人事・人財開発・お客様相談)佐藤喜一さん降の社員が増えるなか、モチベーションが下がれば、会社の発展に影響をおよぼすおそれもあります。一方で、「生涯現役社会」といわれるなかで、2025年には公的年金が65歳完全支給(女性は5年遅れのスケジュール)になり、国も70歳雇用の方針を掲げています。そうした流れも含め、トップの英断もあり、65歳定年制に向けてふみ切ったのです。―たしかにシニア人材のモチベーションをうながすには、処遇制度が重要ですね。60歳以降の人事・処遇制度について教えてください。佐藤 SC社員制度では、現役時代の資格等級を新たにSC1〜6の等級につけ替え、各等級の給与は60歳時の約50%とし、引き続き定年前と同じ仕事に従事することにしていました。今回は定年延長なので、60歳以降もその前の等級を継続しますが、基本給については60歳時点の75%に固定しています。 また、定年延長にともない、管理職は60歳で役職を降りる役職定年制を導入しました。―貴社は、2018(平成30)年3月より定年を毎年1歳ずつ引き上げ、2022(令和4)年3月に65歳定年とする段階的な定年年齢の引上げに取り組まれている最中です。定年延長にふみ切った理由とは何でしょう。佐藤 当社では、定年で退職した社員を再雇用する「セカンド・キャリア社員制度」(以下、「SC社員制度」)を1990年にスタートし、近年では定年を迎える社員の90%以上が定年後もSC社員として働いています。さらに、当社の年齢構成からみて将来的には60歳以上の社員が大きなウエイトを占めることになります。会社が今後も成長を続けていくには、シニア世代にがんばってもらう必要があるのです。 ただし、SC社員制度の場合、給与水準は60歳退職時の50%に下がります。SC社員からは「やっている仕事は大きく変わらないのに報酬だけが半分になる。成果も半分ぐらいでいいのか」という声もありました。60歳以役職を外れた社員は全員、新たに設けた「シニアエキスパート」という等級に入ります。役職を外れると給与が大幅に下がるのが一般的ですが、当社の管理職層は、役職見合いを基本給に組み込んだ職務・役割給にしているので、役職を降りても、他等級と同様の75%となります。さらに、管理職の一部にかぎり、余人をもって代えがたい社員は、60歳以降も役職を継続してもらいます。その場合の基本給は95%になります。 評価制度自体は、60歳以降も同様です。行動評価と個人業績評価を年2回実施しており、個人業績評価は賞与に反映されるので、年収ベースでは75%を上回る社員も出てきます。一方の行動評価は、本来、昇給に反映されるものですが、60歳以上の基本給は75%に固定しています。それでも行動評価を行うのは、資格等級に見合った働き方をしているのかを厳格にチェックするためです。もし等級と働き方が見合っていなければ降格もありうる、と社員には伝えています。―段階的に定年を延長したのはなぜですか。佐藤 最も大きな理由は、すでに再雇用で働いているSC社員の存在です。再雇用となったSC社員を正社員に戻すことは、管理上の従業員の年齢構成が大きく変化するなかで事業の継続的な成長にはシニアの活躍が不可欠

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