エルダー2019年11月号
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2019.1142すい」と評判もよく、情報共有が図りやすくなったという成果も得ているといいます。これらの取組みの結果、社員の定着率が上がり、特に高齢社員については、ここ3年ほどは退職者がなく、島本プランナーは、同社の取組みの数々の成果がここに表れていると評価しました。ほかにも、同社では突然の病気やけがに対処できるよう、週20時間以上勤務する社員を対象に会社による費用負担で、民間の医療保険に加入しています。一人暮らしをする高齢社員が、何かあったときに休んでも困らない備えとして整備したものです。今回は一休本舗の本社工場で菓子製造を担当し、髙木代表取締役が「各業務をテキパキとこなし、お彼岸などの多忙な時期には早出の勤務にも対応してくれる頼もしい社員です」と話す、高齢のパートタイム社員2人にお話を聞きました。無理なく働き続けられる職場人気商品の「熊本焼きのり団子」などの団子製造を主に担当する大おお住すみ久美子さん(65歳)は、一休本舗に勤めて27年。週5日、フルタイムで働いています。機械で製造する串団子などを店舗へ送る木箱に並べたり、製造が終わるたびに機械をばらし、部品を洗浄して、翌日はその組立て作業か代スタッフも活躍中」、「希望の勤務時間相談可」などと明記すると、多数の応募があり、元気であれば70歳以上の人も採用。また、子育て世代にも同様に「勤務時間相談可」として募集をしたところ、30代前後の採用につながり、現在は人材が充足しています。このことにより、シフトが組みやすくなるとともに、残業がほとんどなくなるという効果が得られたそうです。達成手当や手厚い医療保険を整備定年後は、基本的に時間給となります。同社では、モチベーションアップのための取組みとして、店舗の売上げ目標達成に応じた「達成手当」を3年前から支給しています。「基本給(パートの場合は勤務時間数)×達成割合」をプラスで支給する仕組みです。また、店舗ごとのお客さまからの声や成功体験を、「通達」として発信し、全社員で共有する取組みも行っています。以前はFAXで発信しましたが、いまはSNSを活用して共有しています。一休本舗ではここ数年、スマートフォンの活用を促進し、それまで文書で伝えていた作業マニュアルを、各店舗に配置したスマートフォンのSNSアプリを使って動画で発信するようにしたところ、社員の使いやすさが増し、「動画はわかりやプランナーは次のようにも語りました。「創業当初より高齢者雇用に取り組み、現社長もその姿勢を受け継いで、訪問時はすでに定年の引上げも行われており、相談・助言を行うというより、お話しをうかがうことが主になりました」先代は、「可能なかぎり長く働いていてほしい」と社員に望み、実現できるよう社員に寄り添い、以前から高齢社員が多くいたといいます。髙木代表取締役は「和菓子の製造や販売は、伝統や風習、習慣とかかわりが深く、人生経験の長い高齢者の知識は業務に役立ちます。また、年配のお客さまも多く、高齢社員の接客を好まれる方も多々あり、そうしたことが社員のやりがいや、お客さまからの信頼につながっていると感じます」と高齢社員を評価しています。同社では、社員が安心して長く勤めることができる職場環境を整えたいと考え、2015年に60歳としていた定年年齢を65歳に引き上げ、2017年にも1歳引き上げて66歳としました。さらに、定年後はパートタイム社員として本人が希望するかぎり働けることとしています。定年後の勤務時間や仕事内容については、短時間勤務も可能としています。また、通院や家庭の事情などを考慮して、何かあればその都度休めるような対応に努めています。同時に、新聞折込みによる求人募集を行い、「60

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