エルダー2019年11月号
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されてきました。そこで、職業安定法第5条の3は、「求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定め、求人広告の記載事項について明示義務を負わせています。さらに、労働契約を締結しようとする場合には、「明示された従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件(以下、この項において「従事すべき業務の内容等」)を変更する場合その他厚生労働省令で定め求人広告について1近年、企業の採用活動は、新卒のみではなく中途採用も頻繁に行われており、雇用の流動化が生じてきているように思われます。中途採用の場合、多くの企業においては、民間企業またはハローワークなどに求人の掲載を依頼し、それを見た求職者が応募してくるという方法が一般的でしょう。これまで、求人情報については、採用条件が明確に記載されない場合、採用後に労働条件に関するトラブルが生じやすいことが指摘求人広告や求人票には、雇い入れ時の労働条件を正確に記載しなければならず、これに対する労働者の期待も保護されるべきと考えられています。求人広告などと異なる労働条件とすることについて、明確に説明を尽くして、労働契約締結に至ったのではないかぎり、求人広告通りの労働条件による労働契約が成立すると判断されるおそれがあります。A第19回 求人広告と労働契約、パワハラの防止義務弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2019.1148知っておきたい労働法A&Q求人広告と異なる内容で労働契約を結んでもよいのでしょうか求人広告を掲載し、採用活動を行い、面接を経て、内定を出しました。ただし、雇い入れるまでの間に、社内の事情が変わったことから、採用の際には求人広告と異なる内容で雇い入れることになりました。労働条件通知書や雇用契約書には、変更後の労働条件を記載しており、労働者もこれに署名押印しています。労働者から、求人の時と条件が異なることを指摘され、求人通りの労働条件にするように求められたのですが、これに応じなければならないのでしょうか。Q1

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