エルダー2019年11月号
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57エルダー※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します就業規則モデル条文 第4版―上手なつくり方、運用の仕方中山慈しげ夫お 著/経団連出版/4000円+税法律の改正はもとより、会社の成長や労働環境の変化、営業譲渡や吸収合併などの大きな変化があった場合、さらには助成金の受給など、就業規則見直しの動機はさまざまである。しかし、どのような理由にせよ、コンプライアンス重視の観点からは不断の見直しが必要となる。本書は2007(平成19)年に初版を刊行してから順調に版を重ねている、定評ある解説書の第4版である。企業実務の立場から、就業規則の作成手続きと効力に関するルールを説き、必要不可欠と思われるモデル条文を掲げて、その意味と現在の労働法令上の根拠を示しており、自社の就業規則のどこを見直せばよいかがわかりやすく整理されている。また、働き方改革関連法にも対応しており、副業、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の確実な取得、ハラスメント対応なども取り上げているほか、職場で生じやすい問題について、過去の判例をもとに詳述。各条文についての「基本的な考え方」を示したうえで、運用上問題となりやすい事項を「チェックポイント」、「問題点」として解説するとともに、「検討を要する実例」もわかりやすく示す構成となっている。人事労務担当者必携のおすすめの一冊だ。働き方改革関連法にも対応した改訂版、人事労務担当者必携の一冊公正な評価と処遇を実現したい担当者のための解説書同一労働同一賃金の基本給の設計例と諸手当への対応佐藤 純じゅん 著/公益財団法人日本生産性本部生産性労働情報センター/2000円+税一連の働き方改革のなかでも関心が高いとされる「同一労働同一賃金」。本誌でも8月号と9月号の「特別企画」において、厚生労働省による解説を掲載した。各企業でも、人事政策の再構築を模索しているのではないかと思われる。本書は、人事・賃金・評価制度などの設計と運用に精通した、ベテランのコンサルタントによって執筆されたもので、「同一労働同一賃金」のガイドラインに示された、基本給と諸手当の具体的な制度事例がまとめられている。大きく三つのパートから構成されており、「第1部 概論」では、「同一労働同一賃金」をめぐる法改正の経緯とポイントがわかりやすく整理されている。「第2部 基本給の設計例と諸手当への対応」では、基本給の設計の基本と「同一労働同一賃金」に対応する基本給の設計例が示され、「第3部 ケーススタディ編」では、人事労務担当者が疑問に感じることが多いと思われる、基本給や諸手当、福利厚生などに関する25のQ&Aが掲載されている。賃金制度にはさまざまな種類、多様な選択肢がある。本書はより良い賃金制度を構築するためのたたき台であり、公正な評価や処遇の構築を目ざす担当者におすすめしたい。

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