エルダー2019年11月号
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2019.114株式会社オカムラ 執行役員 コーポレート担当 (人事・人財開発・お客様相談)佐藤喜一さん そしてもう一つ伝えているのが「創造性」を発揮してほしいということです。創造性というと、若い人に向けたメッセージと受け取られがちですが、私は新しいものをつくりだす際には、これまでつちかってきた経験や知識の裏づけがあるからこそ、創造性を発揮することができると思っています。ですからシニアに向けて、「むしろ、みなさん方が持っている知識や技術をベースに創造性を発揮して、会社の成長につながる新しいものをつくってほしい」と伝えています。―まさに最前線での活躍を期待しているのですね。すでに定年延長して2年目を迎えますが、みなさんの働きぶりはいかがでしょう。佐藤 もともと60歳を過ぎても継続して働くことがあたり前の社風なので、大部分の社員が以前の職場で働いており、現役社員も先輩と一緒に働くことが普通だと思っています。職場が唯一変わるのは管理職の一部です。管理職でも専門的な知識を持っている技術・開発系は、役職を外れても同じ部門に専門職として残り、後輩の指導にあたってもらっています。それ以外の管理職の場合は、新しい職場や仕事に移ってもらいます。例えば営業系の支店長だった社員の場合、売上げ目標の数字を持たずに営業時代につちかったお客さまとの人脈を活かせるような仕事を任せています。やはり前任の管理職が同じ職場にいると、後輩の管理職もやりづらい部分が出てくることが考えられるためです。ただ、管理職を外れた社員の一部は、「自分のやっている仕事の成果が出し切れているのか」と、不安を感じているようです。その部分のケアは今後の課題といえるでしょう。 現時点では定年延長者の配置はうまくいっていますが、今後さらに人数が増えてきたときに、になってもらう新しい仕事をどうするかについては、現在検討を進めているところです。―65歳、さらには70歳雇用になると個々人の体力や家庭状況によって柔軟な働き方が求められてくると思います。働き方改革も重要ですね。佐藤 当社の働き方改革を進めるために、社長をリーダーとした「WiL–BE(ウィル・ビー)」を経営の重点施策として、2018年6月から実施しています。「ライフ(人生)の要素の中の一つにワーク(仕事)がある」という当社が提唱する「ワークインライフ」をベースに、働くことの喜びや働きがいを感じることができる人材の育成、新しいワークルールの策定、職場環境などの充実を図るというものです。 ワークルールでは、週1回を限度に育児・介護中の社員の在宅勤務を推進しています。シニア世代は親の介護も発生し、実際に介護による在宅勤務を利用するシニア世代も増えています。 女性活躍にかぎらず、定年延長もそうしたダイバーシティーの一つとしてとらえています。当社の働き方改革は「働きがい」改革です。一人ひとりが働きがいを持てる会社になることを目ざして、活動を進めていきます。つちかってきた知識・経験の裏づけがあるシニアにこそ「創造性」の発揮を期待(聞き手・文/溝上憲文 撮影/中岡泰博)

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