エルダー2019年12月号
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特集70歳雇用 先進企業はこうしているエルダー11「70歳までの就業機会の確保」を目ざす成長戦略実行計画(政府)を策定65歳から70歳までの就業機会の確保を目ざす法制度の検討が、厚生労働省の労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会、以下、「労政審」)で始まりました。65歳までの雇用確保を義務づけた現行の高年齢者雇用安定法を改正し、来年の通常国会に事業主の「努力義務」を盛り込んだ法案を提出し、いずれは義務化も視野に入れています。今後、高齢者人口が増大し、2040年にはその伸びは落ち着くものの、現役世代人口の急減は免れないことを前提に、より多くの人が意欲や能力に応じて社会のにない手として長く活躍できる環境整備が必要との認識がその背景にあります。政府は2019(令和元)年5月15日の「未来投資会議」(議長:安倍晋三首相)で、70歳までの就業機会の確保に向けた法改正の方針を打ち出し、「成長戦略実行計画」(6月21日閣議決定、以下、「実行計画」)に制度内容が盛り込まれ、法制化の方向が決まりました。実行計画によると、70歳までの就業機会の確保は二段階に分けて法整備を進めます。第一段階の法制では企業に選択肢を明示し、70歳までの就業機会確保の努力規定を設ける。また、必要がある場合は厚生労働大臣が、事業主に対して、個別労使で計画を策定するよう求め、計画策定については履行確保を求めるとしています。第二段階の法制では、第一段階の進捗をふまえて現行の高齢法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)のための法制化を検討します。この際は、かつての立法例のように、健康状態がよくない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合は、適用除外規定を設けることについて検討することにしています。70歳までの就業に向けて示された〝雇用以外〞を含む七つの選択肢今秋から年末にかけて労政審の審議を経て、2020年の通常国会に第一段階の法案を提出。続いて進捗状況を見て、第二段階の義務化の法改正を検討するとしています。その時期については高齢法の労使協定による基準の経過措置の施行が完了する2025年までは法改正を検討しないとしています。実行計画の工程表ではKPI(目標達成指標)として65~69歳の2025年の就業率を51・6%に設定しています(2018年:46・6%)が、目標達成をふまえ、早ければ2026年度に検討に着手するとも読み取れます。努力義務から義務化の流れは従来の高齢法改正と同様ですが、これまでと違うのは従来の雇用確保措置に加えていくつかの選択肢を設けて解 説「70歳までの就業機会の確保」に向けた方向性とは労働ジャーナリスト  溝みぞ上うえ憲のり文ふみ

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