エルダー2019年12月号
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2019.1216補佐役として活躍しています」と平山課長が誇るシニア従業員の一人である。役割や立場が変わってもやりがいを持って働き続けていくことについて木村さんは、「常に、そのときの自分の立場を受け入れることだと思います。過去を振り返っても将来を変えることはできませんが、将来を考えていまを変えることはできます。自分を変え続けたことがよかったと思います。また、会社からの最大の支援として、雇用延長でも特別扱いをせず、自然体で仕事を継続させてくれたことをありがたく感じています。自分が雇用延長であることを感じることはまずありません」と自らの姿勢と現在を話す。また、健康に長く働き続けるために、「体力が落ちると仕事に集中できないため、体調管理に注意して体力を落とさないこと。運動を心がけ、休日に時間があるとひたすら歩きます。趣味を持つこと。家庭が円満であること。年齢をいい訳にしないこと。ワーク・ライフ・バランスをうまくとること」を心がけていると話してくれた。トラスコ中山健康保険組合を設立長く安心して働ける会社を目ざす木村さんのように活躍するシニアの存在は、「若い世代にもよい影響を与えている」と平山課長は見ている。「若い従業員も老後のことを考えています。具体的なモデルができ、将来のイメージを描くヒントにもなっていると思います。また、長く安心して働ける制度は、就職活動をする学生の目にも留まると思います」一方で、65歳、70歳を超えた従業員への対応として、今後はさらに健康管理が重要になってくると課題をあげた。「65歳を過ぎると不調が出やすくなります。そこで短日数・短時間勤務を導入しましたが、高齢の従業員が増えていますので、健康管理はより重要になってきます。当社はもともと健康経営に取り組んでおり、健康経営優良法人※の大規模法人部門・ホワイト500に認定されています。健康管理については、高齢者にかぎらず、人間ドックの受診を毎年全員に義務づけて受診率は100%です。治療と仕事の両立にも、就業制限をかけることや時短制度を臨機応変に活用して取り組んでいます。社員が長く安心して働き続けられるよう、当社に適した疾病予防につながる取組みをさらに充実させていくことも目ざして、今年4月には単一のトラスコ中山健康保険組合を設立しました。今後も従業員がより安心して、長く働ける環境づくりに取り組んでいきます」と平山課長。さらに、「最近の気象状況の変化により、熱中症など労災のリスクが、高齢の従業員の増加にともない高まるのではないか、といった危惧はあります。現状、体調不良や労災のリスクが高まっている状況ではありませんが、気を引き締めて、エアコンや製氷機の設置などの環境整備や、働きぶりを見て負担を軽減できるよう配置換えを行うことにも随時対応していきます」と加えた。トラスコ中山の社名は「TRUST(信頼)+COMPANY(企業)」を意味している。人々から信頼され、成長し続ける企業として、その原動力となる従業員が安心して長く働き続けられる制度や職場環境をこれからも追求していく。※ 健康経営優良法人……健康経営の普及促進に向け、経済産業省が健康経営に取り組む優良な法人を認定する制度コーチとして職場の指導役もになう木村順一さん

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