エルダー2019年12月号
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2019.1226きたいという思いから、定年後も働きたいという人が多いのだと思います。当社では、例えば営業職員が担当しているお客さまが引っ越しをして遠くに行った場合でも、しっかりフォローできるような仕組みになっています。もちろん働く目的は人それぞれですが、『お客さまの期待に応えたい』、『お客さまをフォローしたい』といった思いから、収入を得るという目的以上に、仕事が自分のライフワークになっている営業職員が多いですね」(國見課長)。アクティブシニア研修で「プロボノリーグ」を活用同社では、経営幹部候補の育成をはじめ、多様な人材育成プログラムを通して、職員が育ち、活躍できる組織づくりに取り組んでいる。その一環として、これから増えていくシニア層が「ライフ」と「ワーク」の両面でやりがいを持って活躍できるよう、2016年度より「アクティブシニア研修」をスタートさせた。アクティブシニア研修は、同社の人材開発本部が打ち出したもので、50歳以上の総合職を対象とし、自分から手をあげてもらう公募型の研修。プログラムは、認定NPO法人サービスグラント(東京都渋谷区)が主体となって実施している「プロボノリーグ」を活用したもので、異業種他社の人たちとチームを組み、課題を抱える実際の団体(NPOなど)へのヒアリングやフィールドワークなどを通して、その課題解決を図る、という内容となっている。「プロボノ」とは、ラテン語の「Pro Bono Publico」を語源としており、専門的なスキルや経験を持って仕事をしている人が、自分のノウハウを無償で提供して行う社会貢献活動のこと。もともとは弁護士など法律にたずさわる職業の人々が無報酬で行うボランティアから始まったといわれており、その公益性の高さに加え、業種の枠組みを超えて社会的課題の解決にたずさわれることから、人材の育成効果も高く、近年では、「プロボノ」を人材育成に活用する企業が増えてきている。人材開発本部の坂井賢一郎副部長は、「この研修には、中堅社員向けとシニア社員向けがあり、異業種の合同チームによるプロボノ活動を通じて、『社会感度や自己の能力・スキルの向上』、『異業種・異分野とのコラボレーション力の研けん鑽さん』などにより、これからの社会に求められる革新的な人材を育成することをねらいとしています。特にシニア社員の場合は、異業種の人たちから刺激を受けることで仕事の活力としてもらいたいことはもちろんですが、他者と接点を持ち、公益性の高い課題に触れることで、定年退職後にどんな生き方をしていくかを考えるきっかけにしてほしいと考えています」と話す。プロボノリーグの期間は1カ月間におよぶ。そのうち集合形式で行うのは4日間のみ。集合形式は4日間連続ということではなく、例えば1週間に1回というような設定になっており、集合研修以外の日には、参加者がそれぞれ自宅などで必要な作業を行う。「基本的に1社から3人が参加し、他業種の人たちと4~6人で一つのチームをつくります。例えば、当社から3人参加したら、同じチームではなく、一人ずつ3チームに分かれ、違う業種の人たちと組みます。そして、課題を抱えている支援先団体に対し、複数のチームで支援を行います。ヒアリングを行って課題を整理して解決策を探り、最終的にそれぞれのチームが課題解決のための成果物の提供を目ざします」(坂井副部長)。異業種交流により視野が広がり自分の強みを再認識プロボノリーグには、坂井副部長と、営業企画部営業情報グループの西にし潟かた純一副課長も参加した。

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