エルダー2019年12月号
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特集70歳雇用 先進企業はこうしているエルダー27西潟副課長は、プロボノリーグに参加した経緯について、「私が参加したのは、2018年度、53歳のときです。坂井さんから『行きませんか』と声をかけてもらったのがきっかけでした。正直なことをいうと、それまでプロボノに興味を持ってはいませんでした。ただ、自分の年齢を考えると、退職した後の生き方も考えなければいけない時期であり、『自分は、会社以外のことはあまり知らないな……』とおぼろげに思っていたのです。そんなときにこの研修の話をいただいたので、『それじゃあやってみようか』となったわけです」と話す。「私たちのチームは、社会福祉協議会で業務をされている区役所の方、システム開発会社の総務の方、大手IT企業のOBがメンバーでした。業種も職種も異なるので、仕事の進め方も異なれば、ものの見方や発想も違います。そういった、それぞれのノウハウを持つ人が集まって、支援先の課題解決のために、いろいろ知恵を出し合いました。私自身もたいへん勉強になりました」(西潟副課長)。西潟副課長たちが支援したのは、美容・健康関連のNPO法人。デイサービスなどの老人介護施設を利用している高齢者に、化粧やハンドマッサージをしたり、アクティブになれるパーソナルカラーや服装のアドバイスなどを行っている団体である。「NPO法人とはいえ、一般の企業と同じで、活動資金が安定していないと十分な活動はできません。その活動を充実させるために何が必要なのかを提案することが、私たちに課せられた課題でした」(西潟副課長)。そこで、集合研修の形で、プロボノの基礎を学ぶオリエンテーションや支援先団体へのヒアリング、実際に行っている活動の体験(フィールドワーク)などを行い、それ以外の期間は、インターネットを活用した情報交換をしながら、各自が自宅作業を行い、最終的に提案する「成果物」の作成を進めた。「私たちのチームは、企業の研修やイベントなどに同NPOが持つノウハウを提供したらどうか、ということを提案しました。チームのメンバーが会って一緒に活動する期間は4日間だけですが、一緒に見聞きしたことを基に、それぞれが考え、情報収集したものを、インターネット上の会議室で話し合いながら、作業を分担して成果物につなげていくわけです。ほかのチームでは、お金の収支計算表をつくるなど、私たちとはまったく違う提案をしていました。自分の得意なスキルを駆使した結果、同じ支援先に対して異なるアプローチをしているのです。視野が広がると同時に、自分の強みを再認識する機会にもなりました」(西潟副課長)。同研修の受講後、西潟副課長は地域活動に参加するようになったという。「私は単身赴任で左から西潟純一副課長、坂井賢一郎副部長、國見善行課長、長谷川克人副部長

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