エルダー2019年12月号
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エルダー35的な取組みが進んでいます。当支部では、大分労働局・ハローワークと連携して定年年齢の引上げ、継続雇用制度導入を目ざして相談・助言活動を実施し、あわせて、昨年度から取り組んでいる『高齢者戦力化のためのご提案』により、制度導入についての進め方を案内しています」と話します。今回は、同支部で活躍するプランナー・山田美み詠え子こさんの案内で「くにみ農産加工有限会社」を訪れました。原料の品質追求と新しい試みくにみ農産加工有限会社は、1981(昭和56)年、国見町※2の出資を受け第三セクター※3として設立。「良い製品はよい原料から」、「地域とともに」という方針のもと、業務用のバジルペーストやソテーオニオンなどの冷凍加工野菜、フライドオニオン、フライドガーリックなどの乾燥食品を製造しています。「畑から営業まで」をキャッチフレーズに六次産業※4化にも着手し、契約農家とともに、地域の農産物に新たな付加価値を生み出す取組みを行っています。具体的には、バジルはやわらかい穂先近くのみを収穫するなど、効率よりも品質のよさにこだわった商品開発・製造を行い、取引先のニーズにこたえています。2017(平成29)年には、敷地内で第二工場が竣工。食の安全を保証する国際規格であるFSSC22000※5の認証を取得しています。最近の取組みとしては、大分県産業科学技術センターの協力を得て、農薬を散布する走行ドローンを開発中とのこと。農薬散布の自動化が実現すれば、人員不足の解消や作業効率アップのほか、作業者の身体への影響を防ぐことができ、早期の実用化が期待されています。非正規従業員は75歳まで希望者全員を雇用くにみ農産加工の正規従業員の定年年齢は、60歳。希望者全員を65歳まで再雇用し、パート従業員、嘱託従業員、アルバイトの非正規従業員は、希望者全員を75歳まで雇用することを就業規則で定めています。総務経理課の吉よし丸まる喜美代さんは、「当社は60歳以上の従業員が3割を占めており、[山田プランナーから]「事業所とのおつき合いは面談のアポイントを取るところから大切にしています。顔が見えない電話対応になりますので、失礼がないように気をつけています。訪問の際は、初対面にもかかわらず、賃金などの労働条件や処遇、就業規則などについてお聞きするので、堅苦しくはなりすぎずかつ節度ある態度で話をうかがうように心がけています」高齢者雇用の相談・助言活動を行っています◆同課の西本課長は、「山田プランナーは、当支部唯一の女性プランナーです。やさしく、まじめな性格で、事業所と一緒に考えるスタンスで、各事業所に適した、高齢者の戦力化のための提案資料を準備して提供しています。事業所から『もっと相談したい』と信頼されているプランナーです」と話します。◆大分支部はJR鶴崎駅から徒歩約8分、乙おと づ津川に面するポリテクセンター大分内にあります。支部のある鶴崎地域は、古くから瀬戸内海航路の拠点として栄えており、大分県を代表する盆踊り「鶴崎踊り」は、400年以上の歴史があり、地元のみならず県内外より多数の踊り手や観客が訪れています。◆現在6名の65歳超雇用推進プランナーが在籍しており、昨年度は270社超の事業所への相談・援助業務を行いました。そのうち65歳以上への定年年齢の引上げ、あるいは65歳を超えた継続雇用延長をすすめる制度改善提案を100件以上実施しています。◆相談・助言を無料で実施しています。お気軽にお問い合わせください。●大分支部高齢・障害者業務課住所:大分県大分市皆みな春はる1483-1ポリテクセンター大分内電話:097(522)7255山田美詠子 プランナー (50歳)アドバイザー・プランナー歴:4年※2  2006年に国見町、国東町、武蔵町、安芸町が合併し国東市が誕生※3 第三セクター……国や地方公共団体と民間企業との共同出資によって設立された事業体のこと※4 六次産業…… 一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての流通・小売業などの事業との総合的・一体的な経営形態のこと※5 FSSC22000……消費者に安全な食品を提供することを目的とした、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格

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