エルダー2019年12月号
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業務災害が発生した場合、事業主は労働基準法により補償責任を負わなければなりませんが、労災保険法に基づく保険給付が行われる場合、事業主は労働基準法上の補償責任を免れます(ただし、休業する際の休業1〜3日目の休業補償は、労災保険から給付されないため、労働基準法で定める平均賃金の60%を事業主が直接労働者に支払う必要があります)。初めて労働災害が起きた際は、請求の流れや、労働災害として認定されなかった場合の手続きを把握しておく必要があります。また、事業主には、労働災害による死亡や休業の発生時には、「労働者死傷病報告」の提労働災害について1労働者災害補償保険法(以下、「労災保険法」)は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して、保険給付を行うことを定めています(第2条の2)。業務上の事由による場合は「業務災害」、通勤による場合は「通勤災害」と呼ばれており、これらの二つをまとめて「労働災害」と呼んでいます。ご相談の例は、就業中のケガであるため、いわゆる「業務災害」に該当するといえます。業務上の事由により生じた負傷、疾病、障害、死亡等に関しては、労働者災害補償保険からの保険給付が実施されますが、労働者からの申告等を前提にしています。会社としては、当該申告に協力する立場になります。なお、業務上の事由であることが認められて保険給付が実施された場合でも、すべての損害が補填されるわけではないため、補充する必要がある費目もあります。A第20回 労災保険給付、年次有給休暇と時季変更権弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2019.1242知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q従業員が就業中にケガをしました。どのような手続きを取ればよいのですか従業員から、就業中にケガをしたと申告がありました。これまで、そういった出来事がなかったので、どういった手続きを取ればよいのかわからないのですが、どうすればよいのでしょうか。労災保険等から支給があった場合には、会社が補填する必要はなくなると考えてよいのでしょうか。Q1

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