エルダー2019年12月号
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2019.1246「一汁三菜」はヘルシーメニューの基本 疲労の原因となる「活性酸素(酸素ラジカル)」。体内の活性酸素の発生を抑え、かつ発生した活性酸素を解消するために、あるいは傷ついた細胞を活性化するために有効なのが「食事」であることを前回ご紹介しました。疲労回復に効果的な食事のなかでも、特に注目していただきたいのが「日本食」です。 「日本食(和食)」は、ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、世界的にも人気を集めています。これは日本食が栄養面で充実していることに加えて、おいしく、ヘルシーだからです。古来より、日本食はごはんを主食とする「一いち汁じゅう三さん菜さい」を基本にしています。一汁三菜は、主食の「ごはん」と、「汁もの」、「おかず3種」(主菜1品、副菜2品)で構成されています。栄養バランスがよく、ヘルシーメニューのお手本ともいえるものです。一般的な、一汁三菜の組合せは以下の通りです。●ごはん: エネルギーの源になる炭水化物(糖質)をとります。これが不足すると、エネルギー不足になったり、集中力がなくなったりします。●汁もの: 汁物の代表は味噌汁。栄養を補い、水分によって食事の満足感を高める役割を果たすので、食べ過ぎの防止にもなります。●主 菜: 献立の主役で、身体に力をつけるタンパク質をメインとしたおかずです。タンパク質が不足すると抵抗力が低下します。●副 菜: ビタミンやミネラル、食物繊維など代謝を助ける栄養素をとる役割を果たしたり、不足しがちな栄養素を補ったりするような役割を果たします。野菜、イモ、キノコ、海藻などを使った和え物や煮物などが代表的な副菜です。 このように、一汁三菜は、汁もので水分を、ごはんでエネルギー源となる炭水化物を、主菜は魚や肉を中心にタンパク質を、副菜は野菜や豆、海藻などを使った和え物や煮物などで、ビタミンやミネラルをとれるような組合せになっています。 この一汁三菜にあてはめて献立を考えれば、さまざまな料理法と素材を使うことになるので、味と栄養のバランスが取れた食事になります。日本食は栄養バランスが理想的であり、健康によく、おいしいといわれる理由がここにあります。一汁三菜の組合せと理想的なカロリーは図表の通りです。ぜひ献立の参考にしてください。 一方で、疲れを解消するには、活性酸素の発生を抑え、代謝を助ける栄養素をとって疲労を回復第7回疲労回復に効果的な日本食国立研究開発法人理化学研究所健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム プログラムディレクター 渡わた辺なべ恭やす良よし 高齢者が毎日イキイキと働くためには、「疲労回復」の視点を持つことも重要になります。この連載では、「疲労回復」をキーワードに、“身体と心の疲労回復”のために効果的な手法を科学的な根拠にもとづき紹介します。科学の視点で読み解く身体と心の疲労回復

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