エルダー2019年12月号
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特別寄稿エルダー49働くシニアの健康を守るために図表2に示しています。6カ月後に体重と体脂肪が減少した6人は、一口の噛む回数が20回程度が5人、30回程度が1人と、開始時と比べて噛む回数が増えています。1回の食事時間も10〜15分が2人、15〜20分が4人と、開始時よりも伸びている人が増えていました。一方、それ以外の6人では、一口の噛む回数が5〜10回程度で、1回の食事時間は6人のうち5〜10分が2人、10〜15分が3人と短い傾向にあります。ゆっくり食べるための工夫(複数回答可)では、「意識してよく噛む」9人、「口いっぱいにものを詰め込まない」8人、「噛んでいる間箸を置く」4人、「噛む回数を数える」3人でした。体重と体脂肪が減少した6人のうち5人は、意識してよく噛むことに取り組んでいました。血液検査には10人が同意し、開始時と6カ月後を比べると、正常値の範囲内ですが、総コレステロール値が低下。また個々のヒアリング調査で、「高脂血症の治療を行っていたが、検査結果が落ち着いてきているので、薬の減量調整を行うことになった」、「体重は1㎏減だが、かかりつけ医から血糖値がよくなっているといわれた」という人もいました。よく噛んでゆっくり食べましょう今回12人の男性勤労者を支援した結果、よく噛んでゆっくり食べることによって、体重減少や血液検査結果の改善がみられました。そのなかで、体重と体脂肪が減少した6人は、そのほかの6人と比べて一口の噛む回数が多くなっています。ゆっくり食べるための工夫として「意識してよく噛む」を取り入れた結果です。一口20〜30回程度を目安によく噛むことを続けたことで、自然に食事量が減少し、腹八分目となっていたと考えられます。まずは、いまよりも噛む回数を増やすこと、意識してよく噛んで一口20回以上噛むことが効果的ではないでしょうか。北海道内のいろいろな事業所を訪問して健康測定などを実施していますが、男性勤労者の方は、「家族にも早いといわれている」、「ゆっくり食べるといいのはわかっているけど……」などと話す人が多くいます。ゆっくり食べることを効果的に取り入れるために、まずは一口20回を目安にして、意識してよく噛む習慣を取り入れることが望ましいと考えます。新しいことを習慣にするのはたいへんですが、よく噛んでゆっくり食べることを継続し、身体の変化が実感できると嬉しくなるものです。健康づくりの一つとして、ご自身でどのような方法でよく噛んでゆっくり食べるかを決めて、取り組んでみてはいかがでしょう。特別寄稿働くシニアの健康を守るために筆者作成図表1 参加者12人の取組み結果6カ月間の変化(体成分測定結果6カ月後-開始時)年齢身長開始時体重6カ月後体重体重変化体脂肪量変化骨格筋量変化体脂肪率変化体重減、体脂肪減A5817364.360.8-3.5-3.3-0.2-4.1B5017964.862.4-2.4-1.1-1.0-1.0C5717479.377.9-1.4-0.8-0.4-0.4D6818384.281.2-3.0-1.3-1.1-0.6E5217671.469.7-1.7-0.2-0.9-0.6F5317272.468.7-3.7-3.3-0.5-3.6体重減G6716064.463.4-1.00.1-0.70.6H6416660.160.0-0.10.1-0.20.2I5716759.258.9-0.30.9-1.11.7J6216778.076.9-1.10.0-0.70.5K6816363.360.3-3.00.2-1.50.1体重増L5416555.356.51.20.60.30.5筆者作成図表2 一口の噛む回数と1回の食事時間の変化体重と体脂肪減少した6人体重減少した5人体重増加した1人5回程10回程5回程10回程20回程30回程開始時6カ月後《一口の噛む回数》5分未満5~10分10~15分15~20分5~10分10~15分15~20分20分以上開始時6カ月後《1回の食事時間》

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