エルダー2019年12月号
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エルダー63リーだ。モダンなデザインながら軽くて気軽に身につけられるので、少しおしゃれして出かけたいときにちょうどよい。また、抹茶を入れておく棗なつめをはじめ、茶道のイメージもある鎌倉彫だが、器も豊富で、さまざまな料理に合う。あまり堅苦しく考えず、人が集まる場で使ってほしいと2人はいう。最近、お寿司を鎌倉彫の角皿に乗せた写真を送ってくれた方がいたと、2人は顔をほころばせる。「とってもおいしそうでした。今度は丸いお皿を買ってみたいとおっしゃってくださって。そういうやり取りが、本当に嬉しいです」手にした人の心を豊かにしたいという小夜子さんたちの想いは、少しずつ人々の暮らしへと届いていくのだろう。一翠堂http://issuido.jp/TEL:0467(22)3769(撮影・福田栄夫/取材・朝倉まつり)うまく合うと気持ちよいですね」と快活に笑う史子さん。2人とも"デザインが大切"というが、好みには個性があらわれる。「私は椿が好きで、娘の誕生時に彫った椿の幾何学模様に特別な想いがあります」(小夜子さん)「椿よりも幾何学模様の方が好きです。身につけたときのカーブを意識した、流線のモチーフも好きです」(史子さん)生活のさまざまな場面からアイデアが生まれ、デザインを生み出す力になる。鎌倉彫のある暮らしをお客さまが教えてくださるいまのシニアはアクティブだ。外出時の装いも、おしゃれで若々しい人が多い。しかし、金属類のアクセサリーは重くて好まないと聞くこともある。そういう方にぴったりなのが、オリジナルデザインの一翠堂ならではのアクセサ小町通りの店舗。作品展などの催事では併設ギャラリーも開くまるで木地の壁。お盆やお膳、お皿や花入れなどの木地が並ぶ。北海道産の桂が使われるとても軽いペンダントとブローチ。花(左)と、七宝(右)は小夜子さんの作品。流線(奥)は史子さんの作品「手がけたら、やりきること」。それ以外に娘に教えるのは、姿勢くらいだという愛用の小刀、平刀、丸刀など。彫る前に研ぐのも準備のうち右手で押し、左手で一定以上いかないように止める。無理なく彫るから、優美な曲線に

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