エルダー2020年1月号
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ゅく村そ塾じです。幕末の志士たちが『日本をなんとかんんょうょういわれたから来ただけなのです。社員が自発的・主体的に学ばないと、会社は強くなりません」と川村部長は危機意識を持った。そこで、2017年、自主的・主体的な学びを基本とする社内大学「J:COM ERSITY」(以下、「ユニバーシティ」)を設立した(図表)。7学部のうち、総合学部は、企業理念研修や階層別研修などの必修科目。そのほかの6学部は選択制で、「学部=部門」ととらえてよい。社員は、どの学部の講座も自由に受講できる。以前は、「技術部の〇〇さんの話はいい」との評判を聞いていても、他部門に関する講師の話を聞く機会は持てなかった。選択科目を大幅に取り入れたことで、部門を越えて知識や経験をシェアできる仕組みを整えた。各学部の学部長は、定年再雇用者を中心とするスーパースター的な人が務める。学部長は、講座の企画を考えるだけでなく、自らも登壇するので、「あの人の話を聞きたい」と社員の受講意欲が高まることが期待できる。顔が広いので、社外の専門家を講師に招くこともできる。各学部長が熱心に取り組んでおり、年間130以上の多彩な講座を運営している。各学部には、学部長が自らの思いや経験値を伝承する「プロ人財育成塾」を設けた。ユニバーシティの通常のプログラムは単発の公開講座がUNIV中心で、1回に100人以上が聴講することもあるが、この「塾」は受講者を20~30人に絞り、年3回以上、同じメンバーで実施する。川村部長はこの塾について、「モデルは松し下かしなければ』という思いを持って吉田松し陰いのもとに集まり、日本の未来を語り合ったように、各学部長のイズムを学び、明日の活力に変えてもらおうと考えました」と説明する。深く熱い議論を交わし、終わった後には毎回飲み会を開く塾も多い。絆が深まり、卒業後も関係が続く。る学部で60人もの応募があったときも、「社員の思いを止めたくない」という学部長の意向を汲んで全員を受け入れたそうだ。を数多く任用している。「創業当時に陣頭指揮を執ってきた主役たちが定年を迎えつつあります。後進を育成する意識を持った方が多いので、研修や自身の経験を後輩を育てることに投資してもらえたらすばらしいと考えました。また、若手のエンゲージメント※2を高める狙いもあります。選抜研修などをして広い視野を持たせても、それだけだと、外に出ていってしまうケースが少なくありません。では、何が必要かというと、会社へのエンゲージメントです。それを経験豊富な先輩社員たちに植えつけてもらいます」と川村部長はいう。職を新設した。部長経験者やグループ会社の社長経験者など経験豊富なベテラン13人が全国を回り、キャリアのアドバイスを行う。1年半~2年弱で全社員と面談をする計画であり、異動入塾にあたって試験などは行っていない。あ学部長だけでなく、講師にも、定年再雇用者2019年4月には、「キャリアアドバイザー」キャリアアドバイザーを新設悩みを共有する場も設定※2 エンゲージメント……社員の企業に対する愛着心、互いに信頼・貢献しあう概念出典:提供資料より作成必修科目J:COM人財としての基礎を学ぶ会社の経営状況、財務、経理のしくみを学ぶ営業、カスタマーセンターなどのナレッジを学ぶCATV専門技術(幹線、宅内作業員、監視体制など)を学ぶ顧客管理システム、社内データ活用を学ぶ映画制作や番組制作・供給のしくみを学ぶキャリア自律や女性活躍のメソッドなどを学ぶ選択科目(手挙げ式)12図表 各学部が展開する講座の領域総合学部経営管理学部お客さま対応学部技術学部情報システム学部メディア学部キャリアデザイン学部※J:COMの社員であれば、だれでも参加できる

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