エルダー2020年1月号
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昨今、少子高齢化が進み、社員の採用もむずかしくなっています。そんななか、高齢社員の活用が叫ばれており、それにも「期限」があります。人生100年時代といわれていますが、高齢社員が元気に働けているうちに次世代への技能伝承が行われなければ、それまでにつちかわれた技術・技能は失われてしまいます。技能伝承のスタートは待ったなしの状態だといってよいでしょう。・技能伝承の必要性一般社団法人大阪中小企業診断士会が2017(平成29)年11月に全国の中小製造業者に行った「モノづくり企業の技能伝承アンケート」(総回答数100サンプル)で、技能伝承の必要性を聞いたところ、81%の企業が技能伝承の必要性を感じているとのことでした(図表1)。・技能伝承がうまくいっていない理由また、技能伝承がうまくいっていない理由に、「熟練社員の指導力不足または指導意欲不足」(52・6%)という教える側に問題があるとする回答と、「若手社員の能力・意欲不足」(28・1%)という教わる側に問題があるとの回答が上位に上がりました(図表2)。して、高齢社員である熟練社員と、若手社員とのコミュニケーション不足があげられます。「熟練社員の指導力不足または指導意欲不足」とありますが、「熟練社員が教えたがらない」のはどうしてなのでしょうか。また「若手社員の能力・意欲不足」とありますが、これには他責の可能性もあるかもしれません。高齢社員の方の「どうせ、教えても聞かないだろ」という思いが若手社員に伝わっている可能性も考えられるのではないでしょうか。ちょっとしたボタンのかけ違いで「世代間断絶」してしまえば元も子もありません。このアンケートから読み取れることの一つとはじめに高齢社員から若手社員へ技能伝承の"ツボ" 林 ■■ 雅■泰■ラーンフォレスト合同会社代表社員株式会社ラーンウェル代表取締役博之関根特集ベテラン社員は後進育成の主役!出典:(一社)大阪中小企業診断士会「モノづくり企業の技能伝承アンケート」(2017年)ない19%ある81%15Q. 技能伝承の必要性はありますか。(若しくは熟練技能者が退職したために困ったことや、熟練した技能が必要な工程の処理能力が低いといった悩みはありますか)エルダー図表1 技能伝承の必要性解 説2

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