エルダー2020年1月号
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か」ということを普段から気にかけています。筆者が研修でかかわった若手社員の方たちに話を聞いたところ、「助けてほしいことを伝え、協力してもらう」、「人生の先輩として尊重する言葉かけを日ごろから欠かさず、声をかけやすい関係づくりをしておく」、「頼りにしていることを伝える」、「仕事以外のコミュニケーションを持つ」などのさまざまな気遣いをしていました。では、若手社員に響く指導の仕方、端的にいえば若手社員が腹落ちするような「教え方・伝え方」とはどういったものなのでしょうか。「人生の先輩から知識を吸収したい」と思っている若手社員に技術・技能を伝えるために、押さえておきたい指導のポイントをお伝えします。・若手社員が聞きたい話を把握する (自分が話したい話をしない)高齢社員の話を聞きたがる若手社員にとって何が重要なのか、何を聞きたいと思っているのかを把握して話をする必要があります。技術・技能を伝えるにしても、若手社員が興味を持っていることから伝えていくことが肝心です。人はだれしも興味がないことを教えられてもなかなか覚えられません。「いま、何に興味がある?」などと質問をして、若手社員の現状を把握してください。は、まずは若手社員がいま何を思っているのか、何を感じているのかをしっかり「傾聴」することです。しっかりと話を聞き、そのうえで若手社員に興味があることに引きつけて、伝えるべきことを伝えていくことが効果的です。・「いま一番伝えるべきこと」を導者の方はたくさんの知識・技術をお持ちなので、いざ指導する際に「あれもこれも」と教えようとしがちです(これは若手社員が敬遠する「話が長い」に通じるものです)。「何をいっているのかわからないよ!」とキャパシティオーバーになってしまう可能性があります。ですから、まずは質問して現状を把握し、「いま一番伝えるべきこと」から少しずつ分けて伝えてあげてください。一つできるようになったら、二つ目、三つ目……と、一朝一夕に指導しようとせず、分けて伝えることをおすすめします。づくり企業の技能伝承アンケート」によれば、こちらが伝えたいことを聞いてもらうために少しずつ分けて伝える高齢社員にかぎった話ではないのですが、指しかし、指導される側の若手社員としては、前述の(一社)大阪中小企業診断士会「モノ(3)聞きたい話をしてくれない「聞きたい話をしてくれない」というのは、若手社員が知りたいことに対する的確な答えを返せていないということです。高齢社員にかぎったことではないのですが、指導する立場の方は自分が持っている知識をいろいろと伝えたいという思いがあり、ついついあれもこれもと話を盛り込みがちになってしまいます。ですが、聞き手である若手社員の興味がないことや的外れな話をされると、聞く気も失せてしまいます。若手社員は、「自分が聞きたい話」を高齢社員から聞けることを望んでいるのです。多くの意欲ある若手社員は、熟達者である高齢社員の方から、さまざまなことを学びたいという気持ちを持っています。なぜそう思うのかを、とある企業の若手社員たちに聞いたところ、「知識の宝箱」、「アナログな生の情報は貴重」などという言葉を聞かせてもらいました。経験豊富な高齢社員と話していてつまらないということはなく、むしろ知的好奇心を刺激されるそうです。また、聞き手側の若手社員も「高齢社員に気持ちよく指導をしてもらうにはどうすればよい若手社員は高齢社員から学びたい高齢社員による指導のポイント17 

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