エルダー2020年1月号
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株式会社晃こ新し製作所(埼玉県川口市)2んう株式会社晃新製作所は1974(昭和49)年に創業し、機械部品や建築金物、医療施設で扱う金属製品などの製造を手がけてきた。近年は、サイン・ディスプレイ※1を中心に、ホテルや複合施設の高級建築金物、公園や美術館のモニュメント・オブジェなど、「人の目に触れる」製作物を手がけている。設計から製作、施工、品質・納期管理まで一貫体制で行い、注文の多くは受注生産のオーダーメイドが占める。高い技術力によるクオリティとスピーディーさで実績を伸ばしている会社だ。星野耕一代表取締役社長は「『人びとの生活のなかで形をとどめる物をつくっている』という責任を感じながら、日々製作に取り組んでいます」とものづくりに対する姿勢を話す。現在は、2020年に開催される東京オリンピックに向けて空港や駅で改修工事にともなう受注が相次ぎ、フル稼働で生産を進めている。星野社長は、創業者である父から2009(平成21)年に事業を継承してからは、先代の時代から勤めているベテラン社員の力を借りる、というスタンスで事業を進めてきたが、50代を含めた高齢社員が全体の約3割を占めるようになり、高齢社員の雇用環境を整備する目的で、2016年に定年年齢を60歳から62歳に引き上げた。定年後は65歳まで希望者全員を嘱託職員として再雇用すると就業規則に明記し、66歳以降については、本人の希望に応じて年齢の上限なくパート社員として雇用している。この場合、契約は1年ごとになる。現在の同社の社員数は62人。そのうち60歳以上は7人で、60〜64歳が2人、65歳以上が5人。最高齢者は、製造部門に所属する76歳である。る製造部をはじめ、営業部では元取締役の営業部長が長年の顧客を変わらず担当するなど、貴重な戦力として活躍している。を進めると同時に、若手の獲得に力を入れてきた。事業を継承したころから、高校生対象の企業説明会や県内の工業高校などに出向き採用活動に注力。あるときは、採用担当者と肩を並べて生徒の声に耳を傾け、「職人として一人前に育てる」、「骨を埋める覚悟で来てほしい」と、熱い気持ちを直接伝えるなどの地道な採用活動を行ってきた。その成果が実り、埼玉県内の工業高校や高等専門学校、東京都内の工業高校からも、毎年新入社員が入社するようになった。熟練工が生産性向上の一翼をになって活躍す星野社長は高齢社員の働きやすい環境づくり高い技術力とクオリティで信頼を集めるサイン・ディスプレイ製造メーカー地道な活動を通じて若手採用に尽力若手定着にベテランの育成力が寄与「技を盗む」のではなく「コミュニケーション」を重視時代に合った技能継承で若手定着率アップ特集ベテラン社員は後進育成の主役!※1  サイン・ディスプレイ……駅名が書かれた駅えき標しるべや広告枠、案内板、液晶ディスプレイなど19エルダー企業事例

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