エルダー2020年1月号
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労働力人口の半分が中高年政大学名誉教授 諏■訪■康■雄■本日は、シニア就業の自助・共助・公助をテーマにお話しをさせていただきます。はじめに、自助・共助・公助について、少し説明いたします。「自助」は、働く人々が、自分なりに、あるいは家族の単位で、それぞれの社会経済生活を成り立たせていく責務・努力・工夫。「共助」は、働く人々が、親族や地域のなか、あるいは職場・企業や業界などのなかで、補い合い、助け合って、お互いの社会経済生活を成り立たせていく責務・努力・工夫。「公助」とは、国や地方自治体が、自助や共助が健全に働くよう、人々の社会経済生活の基盤となる制度を整え、円滑に運用する責務・努力・工夫、こういったものだと思います。年金に例えると、「自助」は個人年金や資産形成など。「共助」は企業年金や職域年金などの制度。「公助」は国民年金や厚生年金制度です。これら三つがうまく機能し、補い合うことにより、私たちの老後の生活は安泰であると、このようにいわれています。本日は、こうした考え方に沿ってお話しをしてまいります。まずは、中高年の現状からみていきましょう。厚生労働省の「高年齢者の雇用状況報告」(2018︿平成30﹀年)から、60代以降の雇用確保措置(31人以上規模企業)をみると、継続雇用制度を導入した企業が約8割、定年の引上げと定年制の廃止を実施した企業が合わせて2割ほどとなっています。零細企業では、定年がないという会社もありますし、求人雑誌などをみると、80歳定年という会社もあります。このようななか、60歳を超えると転職をしていく人が一定数出てきています。およそ7割強の人が継続雇用に応じ、残りの3割弱のなかから一部の人が転職をし、一部の人が起業をしているなどといった状況です。用労働者の推移」では、60〜64歳が206万人で、す。65〜69歳は110万人で、約30%。70歳以上は46万人で約13%となっています。期における就業は、いまや一般的なものになりつつあるということではないでしょうか。また、厚生労働省の同じ報告内の「年齢別常特に70歳以上の層が近年急速に伸びており、次に、総務省の「労働力調査」から、「年齢昨年10月3日(木)に開催された高年齢者雇用開発フォーラムより、諏訪康雄氏による記念講演の様子をお届けします。職業人生の長期化の現状と今後の高齢者の就業支援について、自助・共助・公助の観点からお話ししてくださいました。一般的になりつつある70代の就業 ■ 「令和元年度高年齢者雇用開発フォーラム」記念講演から新春特別企画1〜シニ人生ア1就00業年の時代自に助向け・て共〜法助・公助70歳までの就業、あるいは74歳までの前期高齢60歳以上の常用労働者の約57%を占めていま2020.122

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