エルダー2020年1月号
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中高年の能力は低下しているのかわち、ホワイトカラーとして、第2、第3のキャリアで採用してもらいたいと思う場合、私には管理職としての高い技能・技術・ノウハウがありますよ、とアピールできるかどうかが大事になってくるわけです。同様に、技術職・研究職の人の場合は、圧倒的に「高い技能・技術・ノウハウの活用」が重視されています。したがって、ずば抜けた技能・技術があると説得できることが大切になってきます。営業・販売職の人では、営業としての「高い技能・技術・ノウハウの活用」が重視されますが、もう一つ、「勤務態度や仕事ぶりがまじめ」であるという点も重視されています。技能職の人の場合は、営業職・販売職と似ていますが、高い技能やまじめさが重視される一方で、「比較的安い賃金で採用できる」という点も求められていますから、賃金が下がることに対してある程度覚悟を持つ、そのように計画を立てるなどということが、必要になってきます。事務職の人の場合も、賃金の問題を別にすると、営業職・販売職の場合と似ています。このように、高齢者の就業、あるいは転職についてみると、職種によって採用理由に違いがあることがわかります。中年になって、将来に向けて準備をしようとするとき、実は、この表の内容はとても大事だと私は思っています。自助をするときに、こうしたものを念頭に置きながら、40、50リアにつながっていく可能性が高まるわけです。ただ、この調査には、健康や謙虚であるという項目が欠けているのが気になります。中高年になって転職、あるいは就業を継続したい人の場合には、この二つはとても大切ですから、こうしたソフトスキルに対しても、中年を過ぎた代を働いていくと、その後のキャら意識的に育成していく必要があります。る日本の職場の活性化について考えてみたいと思います。た調査に「従業員の仕事への熱意度」を国際的にみたものがあります。この結果が2017年に日経新聞に掲載されました。それによると、「熱意あふれる社員」は、アメリカでは32%ですが、日本では6%。一方で、日本には「やる気のない社員」が70%。さらに、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」が24%となっています。この24%の人たちの原因は何でしょうか。一つの要素として、仕事上での「成長」を重要と思うか、あるいは実感しているか、といったことが考えられると思います。事上で「成長」が大事だと思っている人は、どの世代においても8割ほどとなっています。ところが、45歳以上の人の二人に一人は、「『成長』を実感できていない」という結果となっています。すると、この人たちが周囲の人たちに向かって「会社なんてね、冷たいもんだぜ。そんな熱次に、中高年の労働者が多数になってきていアメリカの世論調査会社のギャラップが行っパーソル総合研究所の調査結果によると、仕代経営管理職59.8 技術職・研究職営業・販売職技能職事務職その他出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「高齢者の雇用・採用に関する調査」(平成22年)(注)「無回答」は非表示。平成19年10月~20年8月1日の間に、55歳以上の中途採用者がいた企業(30.4%)を対象。中間管理職の確保高い技能・経営幹部の確保技術・ノウハウの活用若い従業員への技能・ノウハウの伝達勤務態度や仕事ぶりがまじめな55歳以上の労働者しか応募してこなかったためから比較的安い賃金で採用できるその他ため24図表2 55歳以上の高年齢者の職種別採用状況(複数回答)27.9 26.2 3.2 11.3 68.8 4.4 7.9 35.4 0.0 2.5 35.7 1.9 11.0 32.9 0.0 0.9 9.8 4.9 3.3 0.8 15.6 11.8 5.9 10.5 28.8 14.0 7.2 27.0 19.5 8.4 26.5 7.7 3.3 29.6 28.9 (%)4.1 1.6 7.0 5.4 14.0 4.4 22.8 6.1 12.3 5.2 28.2 14.4

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