エルダー2020年1月号
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したシニアの社会参加の活性化の依頼があったときに、ニューメディア開発協会を通じて当該地域のシニア向けIT教室に教材とカリキュラムを提供し、その地域のシニア情報生活アドバイザーが講習会を展開できるようになります。そして、この仕組み自体もITを得意とするシニアが、講習会の講師として就労する機会を拡大するものになります。写真2は熊本シニアネットの講師によるGBER講習会の様子です。熊本シニアネットの講師陣はシニアにとってわかりやすい説明の仕方や、シニアがつまずきやすいポイントを熟知していて、本当に頼もしい存在です。GBERにかぎらず、世の中のさまざまなシェアリングエコノミーを紹介して、利用者として日常生活にどのように役立てられるか、そしてサービス提供者としてどのように活躍できるか、という視点で、各地のシニア向けIT教室のカリキュラムに取り入れていただけたらと思っています。新しい働き方や資産の効率的な活用法であるシェアリングエコノミー急速に世界的に広がり始めました。経済産業省の調査によると、2017年の日本での市場規模は716・6億円と推計されたことに対して、お隣の中国では2017年の市場取引額が81・7兆円を超え、爆発的に盛り上がってきていることが報告されています。車の相乗りや民泊だけでなく、自転車や傘、バッテリーなどのさまざまなシェアサービスが誕生しているそうです。日本では、既存サービスのインフラが整っは、2010年以降ていることと、法制度の対応に時間がかかる側面から新しいサービスの参入障壁が大きいのかもしれません。齢化が加速していきます。特に地方では生活インフラのにない手として、これまでのように企業や自治体の力だけでは、公共交通機関を維持できなくなったり、福祉サービスを行き渡らせることができなくなったりと、限界を迎えようとしています。さらに、地域経済を活性化する観光客のニーズが高まっていても、対応できる宿泊施設や飲食店、そして働き手の不足が現実問題として起こっているのです。これからの日本では、都会における便利なツールとしてのシェアリングエコノミーから、地域の課題と利用者の地域での暮らしに合わせて持続可能な社会を構築していくようなシェアリングエコノミーの展開が求められるでしょう。たサービスを利用するだけではなく、地域課題や住民のニーズを発信することも必要です。地域のニーズを受けることで新たなサービスが立ち上がることにつながります。そして、国や自治体にはそれらのサービスを安心して利用できるような法制度の整備へ向けた動きが求められるのです。これから人口減少が始まるなかでますます高そのためには、地域においても新たに登場しシェアリングエコノミーで地域課題の解消と持続的な発展を 写真2 熊本シニアネットの講師陣によるGBER講習会41エルダーで働き方が変わる̶高齢者から始まる働き方改革̶

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