エルダー2020年1月号
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これまで、産前休暇の直前まで報告がされない場合があったり、妊娠の兆候がみえても本人からの報告がなければ、聞くこと自体に臆することもあり、業務に支障が出ていました。妊娠した際には、人員の補充や引継ぎなどの準備も必要となるため、報告のタイミングについて就業規則で規定しようと考えていますが、有効でしょうか。Q2報告義務の設定について妊娠中の女性労働者に関する規定について就業規則で、報告時期について規定することは可能と考えられますが、妊娠の報告に関しては、発覚が遅れることや流産のリスクなどがあることなどから報告を遅らせることもあるため、懲戒などの不利益処分を課すことは困難でしょう。両立しうるため、その判断は医師の治療方針を確認しながら慎重に行うほかありません。師の治療方針との矛盾がないかぎりは、4医転職活動を行うための外出などを行っていたとしても、ただちに、療養専念義務に違反するということはできないと考えられます。しかしながら、休職制度の利用を認めているのは、治療後に復職してもらうことを希望しているからであり、その間の従業員の補充などを控えるような対応を実施する場合もあります。そこで、療養専念の状況を把握するために、定期的な報告を受けるようにしながら、当該報告の場面において、転職活動に関する情報が報告されないのであれば、面談の機会などを設定しつつ、転職活動が真実であるのか確認するとともに、復職可能か否かについてコミュニケーションをはかりつつ、場合によっては、復職の可否について会社指定医の診断を受けるようにうながすなどの方法で、休職制度の利用の継続について確認していくことをおすすめします。従業員から療養の状況に関する報告が行われない場合には、当該報告義務の違反があることになりますので、その際には、懲戒処分を検討することもできると考えられます。1妊娠中の女性労働者については、各種の法律が使用者に対する義務を設定するなど、さまざまな規制がなされています。主要な法律としては、「労働基準法」、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下、『均等法』)」があります。労働基準法では、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性に産前休業を求める権利を認めています(同法65条1項)。次に、均等法は、事業主に対して、妊娠中の女性労働者が母子保健法の規定による保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるように、勤務時間の変更、勤務の軽減など、必要な措置を講ずる義務を負担させています(同法12条および利益取扱いも禁止しています(同法9条3項)。は妊娠した女性労働者に権利を与えています。また、これらの制度は、女性労働者の請求に基づき、使用者が配慮を求められることになります。そのため、妊娠中であることを理由とした権利の行使について、妊娠した女性労働者の判断に委ねられています。の報告を義務づけているとはいえません。これらの規定は、使用者への義務づけまたしたがって、法律上の規定からは事業主へ妊娠をした場合、会社へ妊娠したことの報告を義務づけることは可能か13条)。さらに、同法は、妊娠を理由とした不2020.144A

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