エルダー2020年1月号
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松■■井■拓■■己■ 著/生産性出版/1800円+税■■■■■()学■■■■■■童■■門■■冬■■二■ 著/「株式会社JR東日本テクノハートT■ESSEI■」著者は、本誌連載「江戸から東京へ」でもおなじみの童門冬二氏。東京都庁にて広報室長や企画調整局長、政策室長などを歴任し、1979年に退職。以降は執筆に専念し、歴史を題材にした数々の話題作を手がけてきた。90歳を超えた現在も、第一線で活躍を続けている。本書では、上杉鷹■山■や武田信■玄■、新井白■石■などさまざまな人物の言動や自身の体験も交じえて、歴史との向き合い方を提示する。著者によれば、一流といわれるビジネスマンや経営者ほど「歴史」を「情報」としてとらえ、自分の生き方に役立てているという。読み進むうちに、歴史を多面的に眺めて自分の生き方とリンクさせ、利用することが、歴史を学ぶことの本当の価値なのかもしれないと気づかされる。本書全体は6章からなり、章ごとに「歴史は『複眼』で見る〜人間関係の『本質』を学ぶ」、「歴史が〝つながる〟面白さ〜人生で何を捨て、何を残すか」、「歴史が血肉となる瞬間〜歴史から学んだ最大のこと」などのテーマを掲げている。巻末には立命館アジア太平洋大学長の出■口■治■明■氏との特別対談「歴史と私」も収録。歴史を通して人間関係の本質を追究してきた著者らしい好著である。APU日本の優れたサービス2なぜ一流ほど歴史を学ぶのか―6つの壁を乗り越える変革力―本書は、日本国内でこれまでにない独創的なサービスや、人々に感動を呼ぶような優れたサービスなどを実現した企業を表彰する制度として、2015年度にスタートした「日本サービス大賞」(2年おきに開催)の受賞企業の取組みに着目。サービスの内容ばかりでなく、その実現に至るまでのストーリーに迫り、優れたサービスを実現することができたポイントや、課題を乗り越える変革の力を解説している。たとえば、本誌でも取り上げたことがある、は、JR東日本の新幹線車両の清掃を行っている。駅や車両を自らが演じるステージに見立て、最短7分間で最大17車両の清掃を行う高い技術力とチームワークを発揮し、快適な車内空間を提供している。同社は従業員のモチベーション向上とサービス価値の向上の好循環を実現したことが評価され、本賞の第2回で国土交通大臣賞を受賞した。本書は、優れたサービスはどのようにして生まれ、いかにして組織全体へと波及していったのかを明かしていく。同社のスタッフには60歳以上の高齢者が少なくない。高齢者雇用の質的充実に取り組みたい企業にも参考になるだろう。青春出版社(青春文庫)/750円+税※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します57エルダー高齢者雇用の質的充実を目ざす企業にとっても参考になる好著人生を後押ししてくれる歴史との向き合い方を提示

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