エルダー2020年1月号
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ニュース ファイル 2020.1 January続き、人的資源管理論を専門とし、高齢社員の人事管理に精通した、田口和雄氏(高千穂大学経営学部教授)による基調講演が行われた。講演のテーマは「65歳超の高年齢者雇用を考える長推進企業の取り組み事例から」。田口教授は、まず高齢者雇用を取り巻く雇用環境の現状を整理し、少子高齢化がさらに進展することや労働力人口に占める高齢労働者の割合が高まる見込みであることを指摘した。そして、昭和から平成にかけての定年制の変遷に触れながら、「65歳超の高齢者雇用は、将来的には65歳定年制に会社独自の65歳超の高齢者雇用を加味した制度に移行していくと思われる」と述べた。さらに田口教授は「65歳に向けての定年延長には、処遇(賃金)とキャリア、働き方に課題がある」と言及。当機構が、企業で実際に行われている定年延長の取組みを収集した『65歳超雇用推進事例集2019』の内容を紹介した。最後に田口教授は、「65歳定年延長推進企業のる。65歳定年制を整備するためには、65歳までの一貫した人事管理の構築がもとめられるのではないか」と指摘し、基調講演を締めくくった。引き続き行われた「事例発表」では、千葉支部に所属する65歳超雇用推進プランナー(以下、「プランナー」)の新井將平氏がサンエス警備保障株式会社の取組みを、同じくプランナーの田村芳夫氏が株式会社K.U.Sロジスティクス・サポートの取組みを紹介した。両社とも70歳定年制の導入に加えて、その後の継続雇用の年齢に上限を設けないなど、高齢者を重要な戦力として位置づけている企業。さらに高齢者の健康・体力やワーク・ライフ・バランスに配慮した柔軟な勤務体制を取り入れることで高齢者雇用の質的な充実を図り、実績を挙げていることなどが紹介された。定年延ン」(写真)には、陸運業の関東マルエス株式会社代表取締役社長の福本路■昭■氏、タクシー事業の有限会社武藤自動車代表取締役の武■藤■厚氏、生産用機械器具製造業の株式会社小■出■ロール鐡■工■所業務部部長の中野秀樹氏、千葉労働局職業対策課で高齢者対策担当官を務める鈴木ひろ子氏、そしてプランナーの岩野邦■久■氏と菅■野■陽子氏が登壇した。司会進行は岩野氏が務め、定年制など制度面の現状や高齢労働者を戦力化するための工夫、社内コミュニケーションの改善など、テーマごとに各社の担当者に質問を投げかけ、各企業の担当者からは、高齢労働者が活き活きと働くことができる職場づくりのポイントなどについて、三社三様の取組みが披露された。また、鈴木氏からは高年齢者雇用状況調査結果などをもとに、千葉県内における高齢者雇用の動向などが、菅野プランナーからは、県内企業が高齢者雇用についてどのような方針で取組みを進めているかなどが報告され、岩野プランナーによる的確な進行のもと、活発な討議が交わされた。を挙げている企業の担当者による報告に耳を傾け、熱心にメモを取る参加者の姿が目立ち、また会場内に設けられた「65歳超雇用推進助成金」の相談窓口に足を運ぶ参加者もいるなど、充実したプログラムによって構成された3時間にわたる地域ワークショップは盛況のうちに幕を閉じた。■■■■■■■■■―休憩をはさんで行われた「パネルディスカッショ会場では、基調講演の内容や高齢者雇用に実績当機構から「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」を開催当機構では、10月の「高年齢者雇用支援月間」に、各府県の支部が中心となって「地域ワークショップ」を開催した(一部は11月に開催)。地域ワークショップは、生涯現役社会の実現に向けて、企業が高齢者雇用への理解を深めることを目的とし、高齢者雇用に関する基調講演、高齢者を戦力化し活き活き働いてもらうための情報提供、高齢者雇用に先進的な企業の事例発表などで構成される。今号では、10月24日(木)に当機構千葉支部が主催した地域ワークショップ「高年齢者がいきいきと働くことができる職場づくりの事例発表会」の模様をレポートする。同ワークショップでは、開会のあいさつに引き60代前半層の人事管理は過渡期にあり、多様であパネルディスカッションでは、三社三様の取組みが披露された59エルダー

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