エルダー2020年1月号
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日本では少子高齢化に加え、雇用延長、定年延長の流れもあり、労働力人口全体の高年齢化が加速しています。また問題は高年齢化だけではありません。同時に求められる能力・スキルの変化が速く、専門性の喪失がだれにでも起こる環境となっています。このような環境のなかで、高齢社員をどう活用していくかは企業として重要かつ喫き緊きの課題です。この問題は生産性という問題だけではなく、若手社員のロイヤリティ︵会社や組織への忠誠心︶という問題にもつながります。職場の高齢社員に元気がなく、存在意義を見い出せない状態で放置されていれば、若手がイキイキ働いていける未来をイメージできないのは当然の帰結といえるでしょう。本稿では、高齢社員の手腕を人材育成に活かしていくことで、イキイキ輝くベテラン社員を生み出し、同時に組織全体が活力を取り戻していく方法論について考えていきたいと思います。高齢社員︵本稿では60~65歳と設定︶がその知識や経験を活かし、人材育成をになうことは、たいへん効果的な取組みといえます。高齢社員は尊厳や誇りが持てるようになり、若手にとっては多くの支援や学びを得られる機会となるはずです。また多忙なマネジャーも、人材育成という重要業務を高齢社員にになってもらえれば、たいへんありがたいはずです。しかし残念ながら、多くの職場で高齢社員を人材育成者として活かす取組みは上手くいっていません。ここには大きく三つの問題が存在し集たってかかわられても若手は嫌だろう」といっます。(1)構造的な問題堅・若手が少数で、ベテラン・高齢社員が多数という構造になっています。あるメーカーの定年前研修で人事の責任者から、「今後は経験・ノウハウを活かし、人材育成を中心にがんばってください」とメッセージングをしたところ、受講生から、「いい加減なことをいわないでください」と不満の声が噴出しました。「うちの職場は半数以上が50代だ」、「ベテランに寄よってた反応でした。高齢社員の活躍について考える際に重要なポイントは、多くの職場でベテラン社員がマイノリティ︵少数派︶からマジョリティ︵多数派︶に変わってきているという点です。人材育成にかかわれることはたいへん意味があるのですが、旧来型の育成概念ではどうしても職場によって異なりますが、多くの職場で中はじめに人材育成が上手く機能しない真の課題とは高齢社員の手腕を"人材育成"に活かす7っんか ■裕■司■株式会社ジェイフィール取締役コンサルタント多摩大学大学院客員教授片岡 〜イキイキ輝くベテラン社員が組織を変える〜特集ベテラン社員は後進育成の主役!エルダー解 説1

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