エルダー2020年2月号
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2020.216この仕事の魅力について、「企業のトップと話せることは貴重な体験だと思います。契約の話だけでなく、社会情勢や政治の話などをすることもあります」という。津田社長は「影山さんは長い人生経験があり、話の引き出しが多い方です。若手では、企業の社長と会話が弾むような場面はなかなかありません」と一目置く。影山さんのモチベーションの源泉は、自身の成果とそれに基づく会社からの評価だという。「モチベーションは与えてもらうものではなく、自分で見つけていかなくてはならないと思っていますので、成果を出せば出すほど増える報酬は、モチベーションの源になります。その分、毎日プレッシャーを感じていますが」と、常に上位の成績をキープしている営業マンの気概と苦労を口にした。しかし、血色のよい顔と穏やかな表情に潜むキリッとした佇たたずまいから、プレッシャーが日々の張り合いとなっていることがうかがえた。同じ部署の同僚は社内ではお互いに競争意識を持ったライバルだが、会社を出れば気が合う同世代。金曜の夜は連れ立って飲みに行き、会社を背負って立つ現役世代さながらに、仕事や家庭の話に花を咲かせながら懇親を深めているという。一方で、毎日きっちり定時の17時には退社し、帰宅後はジムに行ったり、散歩をしたり、晩酌を楽しむなどオフタイムを過ごしており、メリハリのある生活を送っている。「残業は体力的にも高齢者には向きませんので、契約社員には定時に退社するようにうながしています。時間にゆとりを持ってもらうことは、シニアに仕事をしてもらうためには必要でしょう」と津田社長は説明する。成果主義の給与体系のなかで高齢社員に配慮宣通では3カ月変動時給制を取っているが、月単位にせず3カ月というスパンを取ったのには訳がある。高齢社員は手術のために入院したり、病気を患って数週間休んだりすることがある。1カ月単位の業績で時給を決定すると、長期病欠した月は時給が格段に落ちてしまうため生活に支障が出る可能性が高い。3カ月間という一定の期間をとって、査定期間を設定することで時給の変動を抑えるよう配慮している。また、今年度も高齢社員の健康管理の一環として、インフルエンザの予防接種を半額会社負担で実施するなど、高齢社員の活躍推進に向け、さまざまな視点からサポートを行っている。人事も兼務する山下部長は「10年前は契約社員の求人に対して、高齢者の応募が100人ほどありましたが、最近は激減して応募者が数人のときもあり、採用には苦労しています。高齢社員は若手社員と比べると格段に定着率がよいのですが、やはり体調面を理由に退職する人が多く、介護など家庭の都合を理由に辞める人もいます。現在70歳の社員が10年後にいるかと考えたら、それはむずかしいでしょう。当社にとって高齢社員は生命線ですから、常に人員を確保していくほかありません」と、高齢社員確保に向けた対策を探っていた。今後も年齢や雇用形態にかかわらず、それぞれが自分の役割を成果主義のなかでまっとうすることで、会社の成長につなげていくことだろう。トップ営業マンの影山義昭さん

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